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ヨーロッパ共同体の残留農薬調査(梨)

農薬情報
農薬の使用剤数は驚くほど多い梨、産地の千葉県の慣行栽培基準は、化学合成農薬52剤にもなります。
 気になる梨の残留農薬の実態は?
 ~安全審査が真剣に行われているヨーロッパ共同体(EU)の残留農薬調査からみえる事~
EU調査 日本とはケタの違うサンプル数での調査で、7割もの梨から残留!
(2011年) 
サンプル数 残留農薬検出サンプル数 許容量違反 検出農薬数
1364 966(70.8%) 15(1.1%) 66種
            日本調査 (2013年東京都)
            8検体の少ない調査で、8検体全てから残留
EU調査◆半分以上もの梨から、複数の農薬が同時に残留!複合的な影響が心配!
サンプル数 残留農薬が1種類検出 残留農薬が2種類以上検出
2184 463(21.2%) 1150(52.6%)→最大13種類
            日本調査 (2013年東京都)
            8検体のうち、4検体(半数)から複数の農薬が残留
     梨の場合に顕著な様に、複数の農薬が同時に残留している事が多い

EUの姿勢 残留した農薬が身体のどこに作用するかを分類し、複合的な影響まで評価
  調査△砲弔い瞳彁擦垢襪函6個の梨の内、2個が許容量を越す可能性がある
  1個目 ラムダシハロトリン0.14ppmとシペルメトリン0.03ppm
  2個目 アセタミプリド0.073ppm、デルタメトリン0.047ppm、ラムダシハロトリン0.036ppm
 (=計0.156ppm ※それぞれが許容範囲内でも、複合的な影響を考えると、許容量を超える)
            日本の姿勢
            残留農薬の影響は、1種類の農薬に対してだけ評価がされている

ブドウの残留農薬について調べてみたら...

ブドウの残留農薬について調べてみたら…
日本ではEUで検出された農薬に比べて、危険性の高い農薬が検出されました。

ヨーロッパ共同体(EU)の2012年の調査より
総サンプル1200の内、残留農薬が検出されたブドウは923(76.9%)。複数個の農薬が検出されたのが715(59.6%)。最大で12種類の農薬が1個のブドウから検出。

● EUの生食用ブドウから検出された残留農薬種類数

東京都の2013年度の調査より
調査サンプル3つの内、検出された農薬は3種類。イミダクロプリド(0.04ppm)、アゾキシストロビン(0.1ppm)、デブフェンピラド(0.02ppm)。

山梨県が2008〜2009年に行った調査より
山梨県産生食用ぶどう35検体の内、検出された農薬はチオファネートメチル、イミダクロプリド、チアクロプリド、ベノミル、クレソキシメチル、フェンブユナゾール、ジエトフェンカルブ、ピリメタニル、オキサジキシル、メフェノキサムでした。更に山梨県内で生食用ブドウに使われている農薬を推定しています。(右表)それによると、EUで検出された農薬に比べ、より危険性の高い農薬が未だに使われていることがよくわかります。

● 山梨県で使用されていると推定されている農薬(一部)

農薬名                      推定使用量 
マンセブ                    94.7%          殺菌剤                           EPA(アメリカ環境保健所)発ガンの恐れ
イミダクロプリド         78.9%          ネオニコチノイド殺虫剤     EU、予防的禁止(3年)
ベノミル                    73.7%          殺菌剤                           EU、アメリカ禁止
アセタミプリド            63.2%         ネオニコチノイド殺虫剤     EU、予防的禁止(3年)
フルジオキソニル         57.9%          浸透性殺菌剤                   ‐
アゾキシストロビン      57.9%         殺菌剤                            ‐

農薬は使用量だけではなく、使われている農薬の危険性も考えなくてはいけません。どんなに農薬を減らしても、その分危険度の高い農薬が使用されていては、意味がありません。
だから、「農薬を減らす」だけでなく、「個々の農薬の危険性についてその違いがあることを知る」ことが消費者にとって、
もちろん生産者にとっても大切なことなのです。

だから、名古屋生活クラブでは有機許容農薬も含めた農薬名を開示することに意味があると考えています。

フレッド・クメローほどFDA人工トランス脂肪酸廃止の決定に喜ぶ者はいないだろう

ワシントンポストにトランス脂肪酸の研究をしている科学者(フレッド・クメロー)の記事が載っていました。クメローさんの研究を年ごとにまとめてみました。
 
http://www.washingtonpost.com/news/to-your-health/wp/2015/06/16/the-100-year-old-scientist-who-pushed-the-fda-to-ban-artificial-trans-fat/
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1950年にクメローが、大学で心臓病で死んだ人間の動脈からトランス脂肪酸を沢山見つける
    ↓1957年にクメローが、動脈を詰まらせるトランス脂肪の危険性を警告する研究を出版
    ↓
この10年以上後、クメローが、ショートニング、マーガリン中のトランス脂肪量を詳細に発表
    ↓
(この頃の状況)
1980年代でも、多くの科学者、関係者は、部分水素添加油【トランス脂肪酸の原因?】は飽和脂肪【動物性油】より良いと信じていた
1990年代にトランス脂肪が増加している心臓病の主犯だという研究が増える
    ↓
1994年に公衆のための科学センターが、FDA【アメリカ食品医薬品局】に表示主張
    ↓
2002年にアメリカ医学研究所が「トランス脂肪酸には安全なレベルがなく、可能な限り少なくすべき」、と主張
    ↓
2006年に表示義務化    ↓
2009年にクメローがFDAに請願提出【トランス脂肪の悪い証拠が増えている、アメリカ人の食事から部分水素添加油を禁止するように提案】
    ↓
2013年にクメローは4年経ったがヒアリングがないので、FDA、保健福祉省を訴える
    ↓
3ヵ月後にFDAはトランス脂肪は安全とは見なされず、効果的になくしていく計画を公表
    ↓2015年6月16日に、製造業者は「(部分水素添加した油を使用した製品を)3年以内に作りかえるか、例外として認めるよう申請する事」と決定。

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部分水素添加油にする理由は商品の価格を安くし、賞味期限を延ばし、美味しく感じさせる為、だそうです。実際この3つはとても魅力的です。
でもクメローさんは60年以上、トランス脂肪酸廃止のために研究を続けてくれました。彼が100歳を過ぎた今、アメリカからトランス脂肪酸がなくなろうとしています。
安全かわかっていないものに基準が設定される日本でも、このように何かが良い方向に進むといいと思います。商品が安いのにも高いのにも理由がある。賞味期限が短いのも長いのにも理由がある。美味しく感じるのにも理由がある。食品を選ぶ際、それを保存させたい時、私は消費者として何に疑問を持って、何を選ぶのか、自分の子供に何を伝えていくべきかをよく悩み疲れてしまいますが、クメローさんの記事を読むことができて元気が出ました。(菅原)
 
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登場する機関
FDA:アメリカ合衆国の政府機関。食品や医薬品等の許可や違反品の取締りなどの行政を専門的に行う。

アメリカ心臓協会:アメリカの患者支援団体。心血管障害、脳卒中の研究および、心肺蘇生教育に関する世界的情報発信団体であり、世界的権威でもある。英文の頭文字を取りAHAと呼ばれることもある。

CSPI(公衆のための科学センター):食品安全、健康に関する情報を発信している団体

米国医学研究所: 1970年に設立された独立非営利の学術機関。研究会開催や報告書発行によって、健康や医療に関する議会や政府への助言を、政府から独立して行っている。

アメリカ合衆国保健福祉省:アメリカ合衆国の政府機関。全てのアメリカ人の健康を保護して、重要な社会事業を提供することを目的とした機関。FDAは、この中の部局の1つ。

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補足 
2015/6/23の朝日新聞に、アメリカでトランス脂肪酸が禁止になる事に対する質問への回答が載っていました。そこには、
--------以下、抜粋
日本では食品安全委員会が2012年に「日本人の通常の食生活では健康への影響は小さい」とする評価書をまとめました。厚生労働省は「規制は考えていない」と説明しています。今年4月施行の食品表示法では、含有量の表示は任意表示にとどめられました。食品業界は自主的に低減の取り組みを進めています。
食品安全委の計算では、日本人のトランス脂肪酸の平均摂取量は1日あたり0・67グラムで、摂取エネルギーの0・3%でした。摂取量の多い方から5%の位置にある人でも0・7%で、WHOの基準を下回っています。
これに対し、米国の20〜59歳の平均摂取量は1日5・6グラムで、総エネルギーの2・2%というデータもあります。食生活が違うためで、クッキーやパンなどからの摂取が多いそうです。食品安全委によると、平均的な日本人の摂取量では、疾患リスクとの関連は明らかではないそうです。
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と書かれています。
数値としては、日本の数値は食品安全委員会の最新の数値ですが、その他の研究結果として併記されているより高い数値には、触れていません。また、アメリカの数値は、トランス脂肪酸の表示義務ができる前のものです。2013年
のFDAの公表では、2.5グラムです。更に、WHOの基準は、努力目標であり、2002年のアメリカ医学研究所の主張のように、これ以下であれば安全というものではありません。
非常に時間がかかっても、少しずつ変化しているアメリカと、何もしない日本。そして、そこに疑いも持たない日本のマスコミが、良く現れています。(外山)


以下、全訳記事の全訳です。

ワシントンポスト 2015年 616
 
フレッド・クメローは100歳のイリノイ大学教授で、動脈を詰まらせる物質の危険性について60年以上にもわたって警告を発してきた人物ですが、FDA(アメリカ食品医薬品局)の人工トランス脂肪酸廃止の決定を、彼ほど喜んでいる人はいないでしょう。
 

クメローは2013年にFDAを訴えた。イリノイの自宅でインタビューに答えた。「科学は勝った」、「私たちの食事にトランス脂肪酸が含まれないことはとても重要だ」
1950年代、若かった大学の研究者クメローは、心臓病で死んだ人間の動脈を調べて確信した。動脈には人工トランス脂肪が多く含まれていた(それ以前に発見されており国中の加工食品に含まれていた)。
のちに、彼は人工トランス脂肪酸を与えたラットが動脈硬化を起こす研究を行った。エサからトランス脂肪を抜くと、動脈硬化が無くなった。クメローは動脈を詰まらせるトランス脂肪の危険性を警告する研究を1957年に出版した。
10年以上後に、アメリカ心臓協会の分科会で、ショートニング、マーガリン中のトランス脂肪量を詳細にした。そして、食品業界がトランス脂肪量を減らしてくれるだろうと確認した。
 
クメローの研究と警告にもかかわらず、人工トランス脂肪はそのままだった。
1980年代さえ、多くの科学者と関係者は、部分水素添加油が飽和脂肪より、良いと信じていた。
そして、食品業界は人工トランス脂肪を減らしたがらなかった。それは「安い」、「賞味期限を伸ばすことができる」、「望みの味と歯ごたえを食品にもたらす」という理由からだった。 
「何年もかけて、グループを作って研究をしても、いつも同じような結果になる様でした。」
「結論を出すには、更なる研究が必要だ、ということでいつも終わりました。」
 
行動の無さにいらついて、クメローは2009年にFDAに請願を提出した。それには、トランス脂肪の悪い証拠が増えていること、そして、アメリカ人の食事から部分水素添加油を禁止することが提案されていた。
 
その頃は、彼は、ひとりで戦っているわけではなかった。
 
1990年代には、トランス脂肪が、増加している心臓病の主犯だという研究がどんどん多くなっていた。公衆のための科学センターは、1994年にFDAに表示を主張し、2006年には表示が義務化された。2002年、アメリカ医学研究所は「トランス脂肪酸には安全なレベルがなく、可能な限り少なくするべきだ」と主張した。
 
クメローがFDAに請願を提出して4年経っても、ヒアリングは無かった。クメローは、FDAと保健福祉省を2013年に訴えた。

 
3ヶ月後に、FDAは、トランス脂肪は安全とは見なされず、効果的に無くしていくという計画を公表しました。
火曜日(2015年6月16日)の決定は、製造業者が3年以内に作りかえるか、例外として認めるよう申請するかの最終の決定です。
政府がほとんどのトランス脂肪を無くすことで、何千人もの命(訳注.1年で)救うことができる。クメローの次の仕事は、揚げた脂肪が代謝に与える研究を推し進めることです。
彼自身の食事では、コレステロールはそんなに気にしていない、というのも、コレステロールが心臓病の主犯ではないと思っているからです。

牛乳も飲み、卵も食べる。しかし、彼は、フライ物、マーガリンなど部分水素添加油が含まれる全てのものを食べないようにしている。
 
クメローは、彼の100歳の誕生日に誰かが持ってきたケーキの表示を見て、すばやく、トランス脂肪を含んでいることに気がついた。
 
「外に投げ捨てたよ」と冗談を言った。
 
「他にも食べるべきものはいっぱいある」
 
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カット野菜の塩素殺菌処理 〜殺菌すると、細菌数がかえって増えてしまう〜

厚生労働省が出している、「大量調理施設衛生管理マニュアル」には、野菜、果物を調理する場合、
必要に応じて、次亜塩素酸ナトリウム等で殺菌した後、流水で十分すすぎ洗いする。
という項目があります。次亜塩素酸ナトリウムは、水道の塩素消毒などに使われる薬品です。
 
このマニュアル自身は、平成9年に出され、何度か改正されてきたものですが、浅漬けのO-157汚染の時など、食中毒が発生するたびに注目され、このマニュアルを遵守しましょうと呼びかけられます。
 
一方、ネット上では、「カット野菜は、栄養が全て抜けてしまっているので食べても意味が無い」といった情報が飛び交っています。実際には、ある程度減りますが、意味が無いというのは言いすぎだと思います。しかし、それ以上に大きな問題がありました。
 
少し古い情報ですが、茨城県工業技術センター研究報告 第24号(平成7年の成果報告です)の
次亜塩素酸ナトリウムによるカットキャベツの殺菌と日持ちへの影響
を紹介します。
 
この報告書では、食中毒対策の為に殺菌しているのに、しばらくするとかえって細菌数が増えてしまうという試験結果が報告されています。
 
この実験では、次のようにカットキャベツを加工して、細菌数やビタミンCの濃度を測定しています。
キャベツ − 半割 − 水洗 − カット − 水洗 − 殺菌(塩素処理) − 水洗 − 脱水 − 包装 − 貯蔵
 
下の図は、カット野菜を塩素処理*した後、3種類の温度で貯蔵した時の生菌数(生きた細菌の数)です。
*この実験の塩素処理は、100ppm, 氷酢酸でpH5に調整した次亜塩素酸ナトリウム溶液を使用

図2は、1メモリごとに、10倍になるように表記されています。白いバーが見にくいですが、黒が無処理、グレーが20分殺菌処理、そのあいだに10分殺菌処理した白い棒グラフがあります。3℃保存の場合、確かに塩素処理で、細菌数が1/10から1/100に減っています。これを見ると、殺菌処理は、効果的だって思いますよね。次を見てみましょう。


10℃保存では、殺菌処理直後には、細菌数が1/10程度に減っていますが、3日目で無処理(切っただけ)とほぼ同じ、4日目では処理した方が多くなってしまいました。


更に、15℃保存では、1日で無処理の0日とほぼ同じに回復(殺菌前の状態)、2日で無処理より多くなっています。


表5、表6も似たような実験ですが、塩素処理**と無処理(カットのみ)以外に、無殺菌(カット後水洗い)も有ります。
**この実験の塩素処理は、100ppm, pH無調整の次亜塩素酸ナトリウム溶液を使用

ビタミンCは、少し減っていますが、こんなもんでしょう。一番右の列を見て下さい。塩素処理直後には、生菌数が減っていますが、元々630個/gだったものが、無殺菌(水洗いだけ)でも80個/g、塩素処理で30〜80個/gです。これを見る限り、水洗いとそんなに変わりません。更に、10℃で4日間貯蔵すると、生菌数は激増してしまいます。20分浸けたものは、水洗いだけと比べて、なんと50倍近くになってしまっています。

この研究報告書の著者は、「塩素殺菌によって、キャベツがダメージを受けてしまう為に、元々持っていた抗菌力を失ってしまう」と考えています。

この結果を、どう考えるか
3℃は、冷蔵庫の良く冷えている部分ぐらいの温度で、10℃は、野菜室ぐらいの温度です。また、家庭用の冷蔵庫は、ドアの開け閉めで、すぐに温度が上がりますので、実質的にはもっと高いかもしれません。
厚生労働省は、食中毒対策の為に、野菜を塩素殺菌する事を推奨していますが、保存状態によっては、かえって細菌が増えている可能性があります。

この実験に使っている、次亜塩素酸ナトリウムは、水道水やプールの消毒に使われる薬品です。次亜塩素酸ナトリウム自体は、すぐに無くなってしまいますが、有機物と反応すると発がん性物質ができる事が知られています(有名なのは、トリハロメタンの一種のクロロホルムですが、他にもいろいろできているはずです)。

集団食中毒は大変な事なので、防がなければなりません。しかし、むやみやたらに殺菌する事ばかりを考えていると、この様な事になります。発がん性があるといっても、無視できるぐらいの影響だという考えもあるでしょう。

しかし、食中毒対策としても逆効果かもしれなくて、健康被害も懸念される事を、厚生労働省が推奨しているという事は、間違っていると思います。




少し難しい話(ここからは、化学用語を使います)

次亜塩素酸水ならこんな事は起こらない?

今回紹介した研究は、次亜塩素酸ナトリウムで殺菌していますが、実際には次亜塩素酸水を使っている所も多いと思います。次亜塩素酸水(家庭用のアルカリイオン水製造機から出てくる、酸性水みたいなものと考えて下さい)は、次亜塩素酸ナトリウムと違うから、問題ないでしょうか?

次亜塩素酸と、次亜塩素酸ナトリウム(溶液中の状態としては、次亜塩素酸イオン)は、化学的には電離しているかしていないかの違いです。この2つは、溶液のpHを変えるだけで、どちらにもなります。塩基性なら次亜塩素酸イオンが多く、中性から弱酸性では次亜塩素酸が多くなり、更にpHを下げると、塩素分子になります。今回紹介した実験では、図2〜4はpH5に調整しているので、殺菌成分としては主に次亜塩素酸、表5, 6はpH無調整の次亜塩素酸ナトリウムなので、殺菌成分としては次亜塩素酸イオンです。実は、両方の実験を行っていたのです。そして、その両方で、貯蔵による生菌数の増加が見られています。

次亜塩素酸水なら、安全だと言われますが、この様に次亜塩素酸ナトリウムとほとんど変わりません。

次亜塩素酸が、次亜塩素酸ナトリウムより安全というのは
・次亜塩素酸ナトリウムは水に良く溶けるが、次亜塩素酸はほとんど溶けない。
→次亜塩素酸ナトリウムは、高濃度の溶液として買ってくる事ができるが、次亜塩素酸水は、使う時に製造する必要がある。
→逆に言うと、危険な高濃度の溶液を扱う機会が無いので安全(高濃度の溶液を酸性にすると有毒ガスも発生する)

・次亜塩素酸は、次亜塩素酸イオンよりも殺菌力が高い
→次亜塩素酸ナトリウムは、次亜塩素酸より高濃度で使用する必要が有る

という違いです。作業者のリスクはずっと低いし、大量に使用する施設では、製造装置を買った方が、次亜塩素酸ナトリウムを購入するより安い、という利点はあります。しかし、カット野菜の細菌が増加してしまうという点に関しては、同じだと考えられます。

ここまで書いて、気づいたのですが、翌年の茨城県工業技術センター研究報告 第25号(平成8年の成果報告です)に、同じ橋本俊郎さんが、

電解次亜水によるカット野菜の殺菌
というのを出していました。レタスを電気分解で製造した次亜塩素酸水で洗浄した場合にも、保存後にちゃんと細菌数が激増している事を確認しています。

福島第一原発避難エリア内で放棄された牛の体内の人工放射性物質

Distribution of artificial radionuclides in abandoned cattle in the evacuation zone of the Fukushima Daiichi nuclear power plant
福島第一原発避難エリア内で放棄された牛の体内の人工放射性物質
Tomokazu Hukuda 東北大学
PLOS ONE   January2013 volume8
 
福島第一原発から20Km圏内の79頭の牛の臓器中の放射性物質濃度を測定した。検査したすべての臓器からセシウム -134とセシウム -137が検出された。さらに、臓器特異的に肝臓から銀 -110m(半減期249.8日)、腎臓からテルル -129m(半減期33.6日)を検出した。
胎児(牛)と幼児(牛)からは母牛のそれぞれ1.19倍、1.51倍のセシウムが検出された。
 
方法と結果
2011429日から1115日にかけて、79頭の牛を捕獲した。地域別では、南相馬27頭、川内村52頭。
3地点で捕獲した。
地点1 南相馬 牛舎内にいた 未汚染の飼料 汚染した水
地点2 川内村 放し飼いにされていた(汚染)
地点3 南相馬     〃
 
  • 銀とテルルの両方とも胎盤を通過できるが、胎児の臓器からは、銀 -110m、テルル -129mとも検出されなかった。
  • バンダジェフスキーの研究で報告されている内分泌器官、とくに甲状腺のセシウム蓄積は、我々の研究ではみられなかった。
  • ウクライナのセシウム -137汚染地域の人々の膀胱の尿上皮に増殖性の細胞がみられたり、慢性的な炎症がみられることの報告があった。しかし我々の研究では、膀胱に比較的高いセシウム蓄積が見られたが、今までのところ目視では異常を見つけられなかった。
  • チェルノブイリ事故後に羊の肝臓に、セシウム以上の銀 -110mの蓄積が報告されている。
福島第一原発事故後、大量のテルル -132が放出された。初期には、テルル -129mより高い濃度のテルル -132が避難エリアで検出された。テルル -129mが腎臓に蓄積していることから、同様にテルル -132も事故後、すぐに腎臓に蓄積しただろう。テルル -132の半減期は3.2日で、ヨウ素-132に変わる。ヨウ素 -132は甲状腺に蓄積する。以前に行われた研究でも、牛に経口投与された放射性テルルはヨウ素 –132になり、甲状腺に蓄積した。これらの研究は甲状腺のリスク評価に当って、ヨウ素 -131と同様にテルル -132にも注意する必要性を示している。

 

解説
セシウムの体内分布については、以前の動物実験で筋肉を中心に全身に均一に分布するといわれていたものの、バンダジェフスキーの研究で、内分泌器官にかたよって分布するという人での研究もあり、正確な研究が必要とされていました。今回の研究結果でも、以前の動物実験での結果と同じ結論−筋肉を中心に全身にまんべんなく分布する−ことが確かめられました。もう少し詳しい研究が必要ですが、セシウムに関して、どこかの器官に濃縮するという可能性はかなり低く、現状では気にする必要性は少ないと思います。
しかし、今回の研究で気になるのは、テルル -129m、テルル –132です。経済産業省の平成231020日の報告によると(http://www.meti.go.jp/press/2011/10/20111020001/20111020001.pdf)、福島第一原発から放出された量として、

となっている。テルル -132はテルル -129m26.7倍放出されており、テルル –129mが腎臓に7000ベクレル/Kg蓄積していたことから、その26.7倍の蓄積の可能性があり、そのテルル -132がヨウ素 -132に変わって甲状腺に移行して被曝をもたらしていた可能性があります。
テルル -132はセシウム -137、セシウム -134の合計量の2.7倍放出されており、半減期78.2時間でヨウ素 -132に変わります。


名古屋生活クラブ

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