食品のリスクについて知ろう

親の食事中の脂肪が子供の腸内細菌叢を変え、免疫も変える。

Parental dietary fat intake alter offspring microbiome and immunity
親の食事中の脂肪が子供の腸内細菌叢を変え、免疫も変える。
Ian A.Myles 国立衛生研究所 アメリカ
Journal Immunol 2013:191:3200-3209

ヒトで炎症に関わる病気が現代で増えているメカニズムにはまだ不明なところがある。

衛生仮説では、微生物感染の減少がこの免疫異常の原因の一つとして提唱されている。しかしながら、食事に含まれる脂肪が免疫に影響する。部分的にだが、微生物への影響を通じて、先の論文で、高脂肪食が直接的に腸内細菌叢に影響し、炎症を生じさせる。そして、子供にもいくらかの影響があった。
親の妊娠中、授乳中の食事の脂肪が子供の免疫に影響するという仮説を検証する。

低脂肪食
    親 → 妊娠 → 出産 → 哺乳    子供 低脂肪食


高脂肪食
    親 → 妊娠 → 出産 → 哺乳    子供 低脂肪食


△了匐|は肥満でも糖尿病でもなかったが、感染、自己免疫アレルギー感作で結果が良くなかった。具体的には

大腸菌を感染させた時に、生存率が低い→ 感染
自己免疫疾患モデル(実験的自己免疫性脳脊髄炎)で生存率が低い→ 自己免疫
ピーナッツ・タンパクによるアナフィラキシーショックによる体温低下が大きい→アレルギー

これらの悪影響は子供の腸内細菌叢の変化に関連している。これらの結果は親の脂肪摂取が子供の免疫にインパクトを与える。いわば脂肪の遺産ともいうべき物を残している。そして、それは腸内細菌叢が受け継がれることで起きているかもしれない。また、,鉢△了匐,離優坤澆鯑欝錣気擦疹豺隋▲優坤澆魯侫鵑鮨べる性質があるため、腸内細菌叢が同じになるからなのか、,鉢△琉磴いなくなります。
ここで高脂肪食といっている食事は、一般的な洋風の食事で低脂肪食と比べると、

       高脂肪食        低脂肪食
タンパク   20%          20%   
炭水化物   40%          70%   
脂肪     40%          10%   

脂肪の内訳
飽和脂肪   40%(パーム油)    10%
多価不飽和  21%          72%
一価不飽和  39%          18%

となっており、飽和脂肪酸(パーム油)の割合が高い。

解説
脂肪をたくさん摂ると、肥ることで悪影響がでることは事実ですが、太らなくても、脂肪の種類によっては、影響が違うことを示している論文です。日本人には痩せているヒトでも糖尿病になる人が多いこともあり、太っていることの他に、脂肪、炭水化物の種類の違いが影響しています。

伊澤

カラギーナンで糖尿病になる?

Exposure to Common Food Additive Carrageenan Alone Leads to Fasting Hyperglycemia and in Combination with High Fat Diet Exacerbates Glucose Intolerance and Hyperlipidemia without Effect on Weight.
よく使われている食品添加物カラギーナン単独で空腹時血糖が上昇し、高脂肪食とカラギーナンの組み合わせで耐糖性と高脂血症が体重増加なしで悪化する、
 Joanne K.Tobacman イリノイ大学 アメリカ
 Journal of Diabetes Research Volume 2015

方法 C57BL/6Jマウスを一年間
    .灰鵐肇蹇璽
   ◆.ラギーナン
    高脂肪食
   ぁ.ラギーナン+高脂肪食
 【カラギーナンの投与量は平均的なアメリカ人の摂取量1日当たり0.25g
  ⇒4.2μg/g体重/日の半分の2μg/g体重/日の投与(マウス)】

結果 
.ラギーナンは投与6日後に耐糖性が低下し23週後には空腹時血糖値が上昇。
カラギーナンと高脂肪食の組合せでは↓,侶覯未より早く現れ、高脂肪食が悪化、カラギーナン単独,任和僚鼎増加しない。

結論
現代の食事に含まれているカラギーナンは糖尿病につながっているかもしれない。


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ヒトの腸内細菌も、良く使われる増粘多糖類「カラギーナン」を分解する。発がん性あり?

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カラギーナンは、増粘多糖類、安定剤などとして、加工品に良く使われていますが、以前から発がん性が懸念されています。この毒性について、おさらいとしてまとめました。
 

ヒトの腸内細菌も、良く使われる増粘多糖類「カラギーナン」を分解する。発がん性あり?

Bacteria of the human gut microbiome catabolize red seaweed glycans with carbohydrate-active enzyme upclates from extrinsic microbes
ヒトの腸内細菌は、紅藻類の多糖類グリカンを外来微生物由来の酵素で分解する
Jan-Hendrik Hehemann ビクトリア大学 カナダ PNAS November 27.2012 vol 109 no.48

始めに、ヒトや他の哺乳類の大腸にいる2大バクテリアにファーミキュート門とバクテロイデス門がある。
バクテロイデス門のバクテリアは、陸上植物や宿主のグリカンを分解できる様に適応している。デンプン、ペクチン、ヘミセルロースや他の植物由来の物質を分解する酵素を持っている。この炭水化物を分解できる一群の酵素を持っていることが、宿主とバクテリアの共生的な進化をもたらしている。
バクテロイデス中では、これらの一群の酵素は多糖類利用遺伝子座(PUL)と名づけられた。1まとまりになった遺伝子群を作っている。私達は、腸内細菌バクテロイデスプレベイウス(Bacteroides plebeius)のPUL遺伝子群を同定した。この遺伝子群は、炭水化物を分解するものだが、紅藻類の炭水化物を分解する海洋バクテリアから遺伝子伝達されて、獲得された遺伝子群だと思われる。アガラーゼ(寒天多糖類を分解する酵素)が日本人の腸内細菌から、ポルフィラナーゼ(のりの多糖類を分解する酵素)がスペイン人の腸内細菌から、アルギン酸リアーゼ(昆布などの多糖類を分解する酵素)がアメリカ人の腸内細菌からなど見つかり、現代の食事に含まれるこれらの新しい海藻由来の炭水化物に腸内細菌が適応(酵素を新しく獲得)した可能性がある。
今回の研究でこのバクテロイデスプレベイウスが海藻からの多糖類をエザに増殖することを示した。
さらに、以前の研究では否定されていた寒天上で生育できるバクテロイデス ユニフォーミスNPIと、カラギーナン上で生育できるバクテロイデス テタイオミクロンVPI3731株を見つけた。私達の研究は紅藻類のガラクタンを分解できる腸内細菌がもしかしたら健康に影響を与える可能性があり、ヒト、腸内細菌の進化の可塑性についての理解を修正する必要がある。
カラギーナンが分解されてできる低分子量カラギーナンには、動物には潰瘍性腸炎を起こすので、健康への懸念がある。
バクテロイデス テタイオミクロン VPI3731株は、カラギーナン上で強烈に増殖するので、カラギーナン分解酵素を持っているはずである。これらの分解酵素を調べることと、この株がヒト腸内にいるのかどうかと、実際に毒性のあるカラギーナン分解産物を作るのかが将来の研究課題である。
 
バクテロイデス テタイオミクロン VPI3731株について
ヒト腸内細菌から分離された、バクテロイデス292株の内の1株は、海藻由来のカッパーカラギーナンを単一炭素源とした培地上で育成できる。3株がみつかり、その中の1株。
 
解説
カラギーナンはIARC(国際ガン研究機関)で発がん性グループ2B(動物では発がん、ヒトでは不明)に分類されています。動物(マウス)の腸内細菌にはカラギーナンを分解する細菌がいて分解されて小さくなった低分子量カラギーナンに発がん性があるという想定です。しかし、「ヒトには、カラギーナンを分解できる腸内細菌がいない」とのことで、ヒト発がん性は不明とされてきました。今回のこの研究で、ヒト腸内細菌にカラギーナンを分解するバクテロイデス テタイオミクロン VPI3731株があることがわかりましたので、カラギーナンの発がん性はますます疑わしくなってきました
伊澤

以前に掲載した「日本人は、海藻を消化できる細菌を持っている!」もご覧ください。
2010年に発表された、欧米人は海藻を消化できませんが、日本人の3割が寒天を分解する事のできる細菌を持っているという論文を紹介しました。しかし、その2年後の2012年に、欧米人からも海藻を消化できる細菌が見つかったと報告されました。
外山

IARC(国際がん研究機関)が赤身肉、加工肉の発がん性を認定した件について

20151026日に、WHO傘下のIARCが、加工肉の発がん性をクループ1(発がん性がある)、赤身肉をグループ2A(恐らく発がん性がある)と評価しました。この発表は、最近新しい研究結果が出てきてわかった事ではなく、 今までに公表された800以上の研究結果を、IARCが総合的に評価して、グループの設定を公表したという事です。
名古屋生活クラブでも、今までにも会員交流会などで、「これらの肉の発がん性は間違いないが、有用性もあるので、食べ過ぎないように適度に食べて欲しい」とお伝えしてきた事なので、IARCの発表に対して、特に驚きはありませんでしたが、会員様や世間での反応が予想以上に大きいので、見解を公表します。
 
赤身肉とは?
日本での赤身、脂身といった区別ではありません。牛、豚、羊、馬、山羊の肉といった、哺乳類の肉を指します。
 
加工肉とは?
塩漬け、発酵、燻煙などの処理をされた肉。
 
どれくらいの発がん性があるのか?
赤身肉、加工肉共に、大腸がんが増えます。IARCで、10種類の研究を総合的に分析したところ、1日に付き50gの加工肉を食べると、大腸がんのリスクが18%増加していました。赤身肉の場合、1日100gで17%の増加です。世界全体で、毎年34,000人が加工肉が原因で癌で死亡、50,000が赤身肉が原因で癌で死亡している事になります。
 
肉は食べない方が良いか?どれくらい食べたら良いか?
確かに赤身肉、加工肉には発がん性があると考えられますが、肉には健康への良い影響もあります。10月初めの、オーストラリアがん評議会(Cancer Council Australia)の発表でも、発がん性を認める一方で、赤身肉を週に3〜4回、1回あたり65〜100グラム食べることを推奨しています。オーストラリアと日本では、食文化が違うので、もう少し少なくても良いかもしれませんが、完全にやめるのではなく食べ過ぎないようにする事が大切だと思います。
 
発がん性の原因は何か?
赤身肉、加工肉の発がん性は、一つの物質が原因ではなく、ヘム鉄、ニトロソ化合物(ニトロソアミンなど)、ポリサイクリック芳香族炭化水素、加熱によって発生するヘテロサイクリックアミン、燻製のベンゾピレンなど様々なものが含まれています(IARCの発表)。また、腸内細菌のバランスによって、大腸がんのリスクが変化する事が知られていますが、食事によって、腸内細菌のバランスが崩れ、大腸がんが増えている可能性もあります(PMID: 25919227など)。これらの内、何が一番大きく影響しているのかは、まだ良くわかっていませんが、発色剤(ニトロソアミンを発生させる亜硝酸塩)を使っていないハムやソーセージを選んだり、肉を焼きすぎて焦がさないなど、避けられるリスクは避ける事が重要です。
 
まとめ
名古屋生活クラブとしては、今までと同様に、
  • 肉は食べ過ぎない方が望ましいが、完全に排除する必要は無い
  • 亜硝酸塩(発色剤)を使用したハム、ソーセージは避ける
  • 過度の加熱は避ける(加熱不足による食中毒には注意)
  • 燻製は、ベンゾピレンを低減させたものを選ぶ
という事が重要だと考えています。
 


名古屋生活クラブ

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