アトピー・アレルギーについて知ろう

出来る範囲で良いものを食べましょう

ノルウェーの35,107人の女性を対象とした調査によると、妊娠期間中に何らかの有機食品を
時々、しばしば、よく食べた人  48%
ほとんど食べなかった人     52%
でした。ほぼ半々です。

この中で、生まれた子供(男の子)が尿道下裂(尿の出口が先端ではなく手前にある)だった人数は、
時々、しばしば、よく食べた人   22人 (0.13%)
ほとんど食べなかった人      52人 (0.29%)
2倍以上の差が有ります。
細かくデータを見てみると、この有機食品には、野菜、果物、穀物だけでなく、牛乳、卵、肉も含まれますが、どの食品で比較しても、ほぼ同じ割合になっていました。

有機食品を時々食べたぐらいで、健康になるものではありません。原因となる物質を特定する事もできません(安易に決め付ける人は、信用できない人なので注意して下さい)。おそらく、意識している人と、そうでない人では、普段の生活全体に違いがあるのでしょう。
農薬、動物用医薬品、食品添加物。高濃度に摂取した場合、動物実験で尿道下裂を起こすものは、たくさん有ります。これらは、影響が出ないように残留基準が設定されている事になっていますが、実際には少しは影響があるのだと思います。たかだか数十匹の実験動物では、わからない事もたくさんあります。

名古屋生活クラブでも、許容している農薬や添加物もあります。特に危険なものは取り扱っていませんが、取り扱っているものなら無条件に安全というわけではありません。
各家庭で状況は違いますが、出来る範囲で良いものを選ぶことが重要だと言う事を、この研究は示していると思います。
(PMID: 26930698, PMID: 26307850)
2016/5/27 掲載 外山

アクリルアミド

2016年4月5日の第601回食品安全委員会で、「加熱時に生じるアクリルアミド」の評価がまとめられましたので、改めてまとめます。
 
アクリルアミドの毒性
発がん性、神経毒性、雄の生殖毒性等。発がん性は、遺伝毒性なので、閾値を設定できない。代謝産物のグリシドアミドにも同様の毒性が見られる。
各国で、BMDL10(10%リスクが上がる摂取量)は、0.2〜0.3 mg/kg 体重/日程度と評価されています。
 
発生源
アスパラギンと、還元糖が高温で反応して出来る。
アスパラギンは、たんぱく質を構成する20種類のアミノ酸の一つです。還元糖というのは、ブドウ糖、果糖などですが、デンプンなど多糖類やショ糖(砂糖の成分)もそれ自体は還元糖では有りませんが、分解すると還元糖ができます。たんぱく質と炭水化物がある食品を高温で調理するとできるので、ほぼ全ての食品という事になりますが、特にアスパラギンを多く含む食品を焦がした時にできやすい。
 
どれくらい摂取している?
平均的な日本人で、実験動物から求めたBMDL10の約1/1000 (リスクが10%上がる量の1/1000)
たいした事無いように見えますが、アクリルアミドの発がん性は閾値が無い事、あくまでも実験動物での毒性を元にした評価だという事を考えると、無視できる量ではありません。食品安全委員会でも、「公衆衛生上の観点から懸念がないとは言えない」という結論です。
 
どんな食品から多く摂取している?
評価書<別添 1>から、一部抜粋
食品 中央値(真ん中の人)
(ng/kg-bw/day)
多く食べる人(上から95%
(ng/kg-bw/day)
平均値(合計÷人数)
(ng/kg-bw/day)
コーヒー* 22 58 27
ジャガイモ(下炒め、素揚げ、炒め)* 11 53 17
もやし(素揚げ、炒め) 4.9 28 8.5
たまねぎ(下炒め、素揚げ、炒め)* 8.0 55 16
成形ポテトスナック 4.8 25 7.9
小麦系菓子類 4.5 37 10
ポテトチップス 3.7 55 14
合計 154 261 166

* 元のデータでは分割されていたものを、合計した。
平均的な日本人の食生活では、コーヒー、炒めたり揚げた野菜、スナック菓子からの摂取が多くなっています。

腸内細菌叢の変化がアレルギーなどに関係している

Allergy associations with the adult fecal microbiota: Analysis of the American Gut Project
成人の便中微生物叢の(貧しさ)がアレルギーに関係している。アメリカ腸内細菌プロジェクトの分析から
Xing Hua 国立衛生研究所 アメリカ
E Bio Medicine 3(2016)172-179

要旨
腸内細菌叢の変化がアレルギーなどに関係しているかもしれない。
アメリカ腸内細菌プロジェクトの、便中、16S rRNA(微生物の種類が分かる)のデータを使った。便中微生物の豊富さ(種類)と割合をアレルギー(ピーナッツ、ナッツ、貝、薬、ハチ、喘息、花粉、湿疹)を持っている人と持っていない人で比べた。
微生物の種数で3分割し(多い人、中間、少ない人)、豊富な人に対して少ない人がどのくらいの割合でアレルギーを持っているかを計算した。

結果
アレルギーを持っている割合は(自己申告)81.5%、
ピーナッツ2.5%、花粉症40.5%
便中微生物の種類はアレルギーを持っている人全体では、かなり少なかった。(P=10-9
微生物の種数で3分割して比べると、多い人に比べ少ない人は

花粉症   1.7倍
薬     1.8倍         
ピーナッツ 7.8倍
多い人に比べ少ない人がこんなに高い割合でアレルギーを持っている。


そして、これらのアレルギーを持つ人たちは微生物の割合も異なっていた。
(ちがう種類になっている。7〜9種類異なっている。)
伊澤
 

世代を越して、食事によって腸内細菌が絶滅しつつある。

Diet-induced extinctions in the gut microbiota compound over generations
世代を越して、食事によって腸内細菌が絶滅しつつある。
 
Sonnenburg.ED. スタンフォード大学 アメリカ
Nature 2016 Jan 14,529
 
腸には、何兆個もの微生物が住み着き、免疫、代謝など人に影響を及ぼしている。伝統的な生活(狩猟採取民族)をしている人達に比べて、現代的な生活をしている人達の腸内細菌の多様性が減少していること(腸内細菌の種類が少ないこと)は、何が原因でこの変化をもたらしているかの疑問を投げかけている。
Microbiota-accessible carbohydrates(MAC)とは、人が消化できずに微生物のエサになる炭水化物で食物繊維として含まれている物で、腸内の微生物叢を形作るのに重要ですが、現代の高脂肪、単一な炭水化物、低食物繊維の食事ではかなり減少しています。
ヒト、腸内微生物を持ったマウスにこの低MAC食を与えた時、このマウスの腸内細菌は一世代では元に戻りうる変化に留まります。
しかし、数世代経つと、この低MAC食は腸内細菌の多様性が連続的に進行し、MAC食を導入しても元に戻らなくなります。元の多様性に戻すには、失われた種類の微生物の投与と、MAC食が必要になります。
伊澤

親の食事中の脂肪が子供の腸内細菌叢を変え、免疫も変える。

Parental dietary fat intake alter offspring microbiome and immunity
親の食事中の脂肪が子供の腸内細菌叢を変え、免疫も変える。
Ian A.Myles 国立衛生研究所 アメリカ
Journal Immunol 2013:191:3200-3209

ヒトで炎症に関わる病気が現代で増えているメカニズムにはまだ不明なところがある。

衛生仮説では、微生物感染の減少がこの免疫異常の原因の一つとして提唱されている。しかしながら、食事に含まれる脂肪が免疫に影響する。部分的にだが、微生物への影響を通じて、先の論文で、高脂肪食が直接的に腸内細菌叢に影響し、炎症を生じさせる。そして、子供にもいくらかの影響があった。
親の妊娠中、授乳中の食事の脂肪が子供の免疫に影響するという仮説を検証する。

低脂肪食
    親 → 妊娠 → 出産 → 哺乳    子供 低脂肪食


高脂肪食
    親 → 妊娠 → 出産 → 哺乳    子供 低脂肪食


△了匐|は肥満でも糖尿病でもなかったが、感染、自己免疫アレルギー感作で結果が良くなかった。具体的には

大腸菌を感染させた時に、生存率が低い→ 感染
自己免疫疾患モデル(実験的自己免疫性脳脊髄炎)で生存率が低い→ 自己免疫
ピーナッツ・タンパクによるアナフィラキシーショックによる体温低下が大きい→アレルギー

これらの悪影響は子供の腸内細菌叢の変化に関連している。これらの結果は親の脂肪摂取が子供の免疫にインパクトを与える。いわば脂肪の遺産ともいうべき物を残している。そして、それは腸内細菌叢が受け継がれることで起きているかもしれない。また、,鉢△了匐,離優坤澆鯑欝錣気擦疹豺隋▲優坤澆魯侫鵑鮨べる性質があるため、腸内細菌叢が同じになるからなのか、,鉢△琉磴いなくなります。
ここで高脂肪食といっている食事は、一般的な洋風の食事で低脂肪食と比べると、

       高脂肪食        低脂肪食
タンパク   20%          20%   
炭水化物   40%          70%   
脂肪     40%          10%   

脂肪の内訳
飽和脂肪   40%(パーム油)    10%
多価不飽和  21%          72%
一価不飽和  39%          18%

となっており、飽和脂肪酸(パーム油)の割合が高い。

解説
脂肪をたくさん摂ると、肥ることで悪影響がでることは事実ですが、太らなくても、脂肪の種類によっては、影響が違うことを示している論文です。日本人には痩せているヒトでも糖尿病になる人が多いこともあり、太っていることの他に、脂肪、炭水化物の種類の違いが影響しています。

伊澤


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