花王・エコナの主成分ジアシルグリセロールの危険
遺伝子組み換えラットを使った実験で舌ガンがでた結果を受け、厚生労働省は「念のため」という名目で追加試験を実施。
評価書「高濃度にジアシルグリセロールを含む食品の安全性について」(2009年6月 食品安全委員会新開発食品専門調査会 食品安全委員会添加物専門調査会)のいくつかの実験の中から、野生型マウスを用いた皮膚二段階発がん試験「マウス皮膚二段階発がんにおけるDAG Oilのプロモーション作用の検討」(国立がんセンター研究所 若林敬二)より一部抜粋
実験
6週齢のICRマウスの背部皮膚にDMBAを単回塗布(100μg)してイニシエーションを行った後、DAG油を1日1回又は2回、週5日、35週間背部皮膚に塗布した。
結果
一日投与量(mg/背部皮膚/日) | 例数 | 皮膚病変(%) | ||
乳頭腫 | 扁平上皮がん | 腫瘍合計 | ||
DAG油150mg | 25 | 48* | 12 | 48* |
DAG油60mg | 25 | 44* | 4 | 44* |
大豆油170mg | 23 | 4 | 0 | 4 |
アセトン(溶媒) | 24 | 0 | 0 | 0 |
野生ラットにDAG油(エコナ)を塗ると約半数に癌ができた。
今までは野生ラットでは発がん性なしとの評価だったが、DAG油を処理したマウスの内、44〜48%の確率でマウスに腫瘍が見つかった。大豆油では4%。
以上より、DAG油の塗布により皮膚の発がんプロモーション作用が認められた。(=DAGには発がんの第2段階を促進する作用が認められた)
●上記実験をうけた食品安全委員会事務局の案
当該試験は、発がん物質によるイニシエーション後に高用量かつ頻回に皮膚に塗布するといった、ヒトが通常食品としてDAG油を摂取する場合には想定し得ない暴露条件下におけるものであり、新開発食品専門委員会及び添加物専門調査会としては、ヒトが通常食品としてDAG油を摂取する場合に外挿することは適切でないと判断した。
解説
確かに他の実験では結果がばらばらで発ガンプロモーション(促進)作用が認められたり認められなかったりと結果は半々でした。が、結局「実験結果では発ガン促進作用について一貫性がないから、皮膚に塗ったりしないで」としたのです。
また、特定保健用食品としての安全性の評価については、「新たな知見を踏まえあらためて評価を行った結果、引き続き妥当なものと考えられ、本食品については、適切に摂取される限りにおいては、安全性に問題はないと判断した。」としています。
この食品安全委員会の見解を皆さんはどう思いますか??結局実験結果では、DAGを摂取しても大丈夫だとは言い切れないものだったにもかかわらず(食品安全委員会専門委員の方の中には、これに対し「安全性に問題なしとは言えない」という訂正意見も出されています)、「全く発ガン促進作用が認められなかったため」ではなく「一貫性がなかったため」大丈夫だと言っているのです。発ガン促進作用が認められた実験があったにもかかわらずです。さらに特保はそのままで問題なしとしています。(花王はその後自ら取り下げ申請をしました)
「エコナ」はこれまで何億本と日本国民の口に届いています。利益第一主義の大企業の姿勢、それに対して国民の健康を本当には守ろうとしない国の対応。自分で正しい情報を得ることはとても難しいことですが、国は本当には守ってはくれません。
(株式会社名古屋生活クラブ代表 伊澤眞一)
(2012/06/25 掲載)