生活雑貨の危険性について知ろう

金属アレルギーの発症に、金属ナノ粒子が関与

大阪大学大学院薬学研究科の研究を紹介します。

大阪大学の研究情報より http://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2016/20160610_1 (掲載論文は、PMID: 27240418

 

金属アレルギーは、身に付けている金属が溶け出してきて(金属イオンになる)、体内で免疫応答が起こる事によって発症すると考えられてきました。しかし、単に金属イオンを投与しても金属アレルギーを起こさないという事が知られています。近年、溶け出した金属イオンが、皮膚を通過した後、体内で金属ナノ粒子になる事がわかってきました。そこで、この研究グループは、金属ナノ粒子が発生する事が、金属アレルギーの原因になると考え、実験を行いました。

 

結果

  1. ナノ粒子(直径10 nmの銀又は、直径3 nmのニッケル)をマウスの耳に投与した場合と、銀イオン又はニッケルイオンを投与した場合を比較したところ、1回目にナノ粒子を投与した場合は、2回目がナノ粒子でもイオンでも、耳の腫れがひどくなった。最初にイオンを投与した場合は、耳の腫れはひどくならなかった。
  2. リンパ節への蓄積を比較したところ、銀イオンを投与した場合は、ほとんど蓄積しないが、銀ナノ粒子を投与した場合は多く蓄積し、長時間リンパ節に留まった。

 

解説

その前に、イオン、ナノ粒子ってなに?例えば、銀の場合

  • 銀原子の直径は、約0.3 nm (1nmは、1mmの10億分の1): 原子がたくさん集まって、金属ができている。銀1g(直径約6mm 原子の直径の2億倍)には、56ガイ(1ガイ=1兆の1万倍の1万倍=100,000,000,000,000,000,000)個の原子が集まっている。
  • 銀イオンの直径は、約0.2 nm: 水に溶けているときは、原子から電子が抜けてイオンになっていて、1個ずつばらばらに存在している。
  • 銀ナノ粒子:直径1〜100 nmの大きさの粒子。原子の30〜3000倍の大きさ。数にすると、約1万〜100億個の原子でできている計算になる。これは、ウイルス(直径100 nm程度)や、たんぱく質(直径 数nm)と同じぐらいの大きさ。

ナノ粒子の大きさが、なんとなく想像できましたか?直感的にはなかなかイメージできませんね。これが、ナノ粒子をわかりにくくしています。

 

この研究は、ナノ粒子の危険性を調べる事を目的したわけではありません。金属アレルギーの発症メカニズムを解明する為に、金属のナノ粒子を皮膚の内側に直接投与して反応を調べました。その結果、銀イオンではなく、銀ナノ粒子が体内に存在する事が、アレルギーの発症に大きな影響を与えるという事がわかりました。

銀には抗菌性があり、抗菌性のプラスチックなどに混ぜられていたり、制汗スプレーや消臭スプレーに入っています。抗菌性がありますが、細菌やカビにだけ効くのではなく、多くの生物に対して効果が有り、人間の細胞にも影響があります。一般的には、銀の抗菌作用や毒性は、銀イオンによるものだと考えられています。添加してある成分としては、銀ナノ粒子でも、溶け出して銀イオンになって作用するので、一見銀イオンと同じ程度の毒性と考えて良さそうに思えます。

しかし、吸収、蓄積、体内での移動といった点で、ナノ粒子は特有の振る舞いをします。今回の論文では、銀ナノ粒子という中途半端な大きさの粒子だということが、リンパ節への蓄積につながっている事がわかりました。リンパ節は、ウイルスなどの病原体をトラップして、免疫反応が起こる場所です。ナノ粒子が、ウイルスやたんぱく質に近いサイズなので、リンパ節でトラップされて蓄積し、免疫反応が強く出てしまっているようです。

 

別の論文を紹介します

(総説) 銀ナノ粒子及び銀イオンの細胞内分布とメタロチオネインの動態. 宮山貴光ら

 

  1. 銀ナノ粒子を皮下投与(注射)すると、血液と一緒に流れて行き、腎臓、肝臓、脾臓、脳、肺に分布。
  2. 銀イオンは、人間の体内ではメタロチオネインというたんぱく質と結合して、水に溶けた状態になっている。
  3. 銀ナノ粒子は、高分子画分(不溶性)に存在していて、メタロチオネインによる防御機構から逃れている。

この研究でも、ナノ粒子である事で、今まで考えられていたものとは違ったリスクが懸念される事を示しています。

 

どちらの論文も、ナノ粒子が肌を通り抜けて、体内に蓄積するというものではありません。しかし、何らかの原因で入ってしまった場合、ナノ粒子というサイズである為に、独特の振る舞いをして、体に害を及ぼす可能性があるという事を示しています。

しかし、今のところナノ粒子というサイズによる毒性について、議論はされていますが、ほとんど規制されていません。銀の抗菌作用を利用した様々な商品が売られていますが、食べ物やデオドラント、衣服など、体に長時間接触するものは、避けた方が良さそうです。

2016/6/30 外山



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