化学化合物(環境毒物・環境汚染)について知ろう

プラスチック製品による海の汚染

この写真は、(株)名古屋生活クラブのスタッフが、渥美半島のどろんこ村での研修で、薪にするための流木を拾っているところです。しかし、流木だけでなく、プラスチック製品のごみも目に付きますね。ここは、比較的少ない方だと思いますが、もっとひどい所を見たことがあるのではないでしょうか。
現在、世界中の海が、プラスチックで汚染されています。

 
大きな問題となっているマイクロプラスチック
  • 小さなプラスチック(正式な規定は無く、研究者によって0.5〜5 mm以下とばらつきがある)
  • 歯磨き粉、化粧品などに含まれるビーズ(製品の段階で小さなプラスチックになっている)と、大きなプラスチックが粉々になったものがある。(アジアでは後者が多い)
  • 元のプラスチックに含まれる成分(ビスフェノールA、フタル酸エステル類など)だけでなく、海水中の様々な毒物(PCBs、DDTsなど)が、マイクロプラスチックに吸着している
  • 鳥、魚介類、プランクトンが食べてしまい、蓄積する。特に牡蠣などの貝類に多く蓄積する
  • マイクロプラスチックを食べた生物に、毒物が移行する
 
この様に、多くの問題のあるマイクロプラスチックですが、こんなところにも影響がありました
Microplastic Pollution in Table Salts from China Environ. Sci. Technol. 2015, 49, 13622−13627
中国で、市販されている食塩に含まれるマイクロプラスチックを分析した論文です。
 
  1. 市販の様々な塩を溶かし、フィルターろ過したものを、顕微鏡でマイクロプラスチックを数えた結果
海水から作った塩     550〜681個/1kg
湖水から作った塩     43−364個/1kg
岩塩から作った塩     7−204個/1kg
海水から作った全ての塩に、1kgあたり500個以上のマイクロプラスチックが含まれていました。また、半数以上が0.2mm以下のサイズで、
形はほとんどが不定形(≒砕けた後の小さな破片)か繊維状でした。

 
  1. プラスチックの種類を分析した結果
海水から作った塩は、PET(27.3%)、ポリエチレン(20.5%)、セロファン(18.2%)、ポリエステル(13.6%)。顕微鏡で、マイクロプラスチックを
判断したものの中にも、プラスチックではないものも含まれていたが、ほとんどがプラスチックである事が確認できた。

 
(解説)
この論文は、中国で市販されている塩について調べたものです。中国の海岸には、日本より多くのゴミが有ると言われています。
日本は、こんなにひどくないでしょうか?

今のところ、マイクロプラスチックの大半は、プラスチック容器、化学繊維などの大きなプラスチック製品が砕けたものだといわれています。
大きなプラスチックは、海面に浮いていて波打ち際に多く集まる傾向がありますが、分解されると海中に沈みやすくなり、外洋に広がりやすくなります。また、太平洋には西と東の2ヶ所パンダの目のようにゴミの集まる海域があります。日本はこのゴミの集まるエリアのすぐ近くにあり、むしろ中国よりも危険かもしれません。

また、「今のところ、マイクロプラスチックの大半は、プラスチック容器、化学繊維などの大きなプラスチック製品が砕けたもの」と書きましたが、更に小さいものは、ほとんど実態がわかっていません。
マイクロプラスチックだけでなく、放射能、水銀、農薬による環境汚染など、
「安全な食べ物を選ぶ」から、「安全ではない食べ物を増やさない」へ、
考え方を変えなければいけない時代になっています。
2016/5/27 掲載 外山


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