放射線について知ろう

福島第一原発避難エリア内で放棄された牛の体内の人工放射性物質

Distribution of artificial radionuclides in abandoned cattle in the evacuation zone of the Fukushima Daiichi nuclear power plant
福島第一原発避難エリア内で放棄された牛の体内の人工放射性物質
Tomokazu Hukuda 東北大学
PLOS ONE   January2013 volume8
 
福島第一原発から20Km圏内の79頭の牛の臓器中の放射性物質濃度を測定した。検査したすべての臓器からセシウム -134とセシウム -137が検出された。さらに、臓器特異的に肝臓から銀 -110m(半減期249.8日)、腎臓からテルル -129m(半減期33.6日)を検出した。
胎児(牛)と幼児(牛)からは母牛のそれぞれ1.19倍、1.51倍のセシウムが検出された。
 
方法と結果
2011429日から1115日にかけて、79頭の牛を捕獲した。地域別では、南相馬27頭、川内村52頭。
3地点で捕獲した。
地点1 南相馬 牛舎内にいた 未汚染の飼料 汚染した水
地点2 川内村 放し飼いにされていた(汚染)
地点3 南相馬     〃
 
  • 銀とテルルの両方とも胎盤を通過できるが、胎児の臓器からは、銀 -110m、テルル -129mとも検出されなかった。
  • バンダジェフスキーの研究で報告されている内分泌器官、とくに甲状腺のセシウム蓄積は、我々の研究ではみられなかった。
  • ウクライナのセシウム -137汚染地域の人々の膀胱の尿上皮に増殖性の細胞がみられたり、慢性的な炎症がみられることの報告があった。しかし我々の研究では、膀胱に比較的高いセシウム蓄積が見られたが、今までのところ目視では異常を見つけられなかった。
  • チェルノブイリ事故後に羊の肝臓に、セシウム以上の銀 -110mの蓄積が報告されている。
福島第一原発事故後、大量のテルル -132が放出された。初期には、テルル -129mより高い濃度のテルル -132が避難エリアで検出された。テルル -129mが腎臓に蓄積していることから、同様にテルル -132も事故後、すぐに腎臓に蓄積しただろう。テルル -132の半減期は3.2日で、ヨウ素-132に変わる。ヨウ素 -132は甲状腺に蓄積する。以前に行われた研究でも、牛に経口投与された放射性テルルはヨウ素 –132になり、甲状腺に蓄積した。これらの研究は甲状腺のリスク評価に当って、ヨウ素 -131と同様にテルル -132にも注意する必要性を示している。
蓄積量
 

解説
セシウムの体内分布については、以前の動物実験で筋肉を中心に全身に均一に分布するといわれていたものの、バンダジェフスキーの研究で、内分泌器官にかたよって分布するという人での研究もあり、正確な研究が必要とされていました。今回の研究結果でも、以前の動物実験での結果と同じ結論−筋肉を中心に全身にまんべんなく分布する−ことが確かめられました。もう少し詳しい研究が必要ですが、セシウムに関して、どこかの器官に濃縮するという可能性はかなり低く、現状では気にする必要性は少ないと思います。
しかし、今回の研究で気になるのは、テルル -129m、テルル –132です。経済産業省の平成231020日の報告によると(http://www.meti.go.jp/press/2011/10/20111020001/20111020001.pdf)、福島第一原発から放出された量として、
放出量
となっている。テルル -132はテルル -129m26.7倍放出されており、テルル –129mが腎臓に7000ベクレル/Kg蓄積していたことから、その26.7倍の蓄積の可能性があり、そのテルル -132がヨウ素 -132に変わって甲状腺に移行して被曝をもたらしていた可能性があります。
テルル -132はセシウム -137、セシウム -134の合計量の2.7倍放出されており、半減期78.2時間でヨウ素 -132に変わります。


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