共生細菌について知ろう

日本人は、海藻を消化できる細菌を持っている!

人間は、食べ物を消化吸収するための全ての酵素を持っているわけではありません。腸内で、細菌によって人間が利用できる形に分解されたものを、人間の体内に吸収し、利用しています。この事一つを取っても、人間に様々な微生物が共生している事は、非常に重要な事で、抗生物質などでむやみに腸内細菌を殺してしまう事は慎むべきです。
 
それはさておき、先日テレビを見ていたら、2010年にイギリスの科学雑誌Natureに掲載された論文(Nature. 2010 Apr.8;464(7290):908-12)が紹介されていました。
この論文では、フランスの研究者が、海にいる微生物から紅藻類の作る多糖類(寒天みたいなもの)を分解する働きを持つ酵素を発見しました。そして、この酵素と似たものをデータベース(現在、世界中で発見された遺伝子やタンパク質は、共通のデータベースに蓄えられ、誰にでも利用できるようになっています)から検索したところ、日本人から分離された腸内細菌が、同じ酵素を持っている事がわかりました。この酵素を持つ細菌は、約40%の日本人の腸内に住んでいますが、北アメリカに住む人の腸内にはいない(同種の細菌はいるけど、この酵素を持っていない)という事もわかりました。 
 

人間は海藻の多糖類を分解できない

       

海藻と一緒に、海藻を分解できる細菌を、人間が食べる

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人間の腸内細菌に、海藻を分解する酵素の遺伝子が移る

       ↓
人間の腸内で海藻が分解されるようになる
他のものでも、同じ事が起こっている事は容易に想像できる!

さて、この酵素は、どこから来たのでしょうか?この論文の筆者は、日本人は、海藻を良く食べるので、海にいる細菌が、海藻と一緒に昔の日本人の誰かに食べられ、その遺伝子が元々人間の腸内にいた細菌に取り込まれたのだろうと言っています。この細菌がいるので、日本人は、海苔や寒天を消化できるかもしれません。
この論文では、日本人と北米人しか対象にしていないので、日本人だけなのかはわかりませんが、遺伝子が別の細菌に移るのは珍しい事ではありません。
ここで、私が感じたのは、「海藻はヘルシーじゃないかもしれない」ではなく、「カラギーナンは、どうなんだろう?」です。
 
カラギーナンは、紅藻類が作り出す多糖類で、食品添加物の増粘多糖類として、様々な食品に使用されています。工業製品としてのカラギーナンは、主にフィリピンで作られていますが、日本にもカラギーナンを作る海藻はいて、食用にもされています。
このカラギーナンは、マウスやラットの実験で、発がん率を高める事が知られています。これは、主に分解されたカラギーナンが原因であるとされていますが、マウスやラットなどげっ歯類は、カラギーナンを分解する腸内細菌を持っているが、人間は持っていないので分解されない」という理由で、人間には害は無いという事になっています。
最初に挙げた論文に出てきた酵素が、カラギーナンを分解できるかどうかはわかりません(おそらくほとんど分解できないでしょう)。しかし、人間は誰でも同じ腸内細菌を持っているわけではありません。食品添加物として利用されているカラギーナンに、これを分解する細菌が混在しているとは考えにくいのですが、日本の海にもカラギーナンを分解する事のできる細菌は、当然いるでしょう。同じように、その酵素が一部の人間の腸内細菌に移ってるかもしれない事を考えると、簡単にげっ歯類と人間は違うと片付けてしまう事はできません。
 
この論文を根拠としているわけではありませんが、名古屋生活クラブでは、カラギーナンを使用している商品を取り扱っていません。危険性が確認されているものを規制するのではなく、危険かも知れないものを規制しています。


続報
ヒトの腸内細菌は、紅藻類の多糖類グリカンを分解する

 


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