農薬について知ろう

クロチアニジン(ネオニコチノイド系農薬)の残留基準値改正

ネオニコチノイド系農薬のクロチアニジン(製品名ダントツなど)の適用拡大申請(メーカーが、今まで許可されていなかった使用方法の許可を申請する事)に伴い、残留基準値の改正が審議されています。既に、食品安全委員会による審査は終了しており、2013年10月4日から11月2日まで、パブリックコメントの募集がありました。
EUでは、ミツバチへの影響を考慮して、2013年12月からこの農薬の使用は基本的に禁止になりました。しかし、この改正では、ホウレンソウ3 ppm→40 ppm、カブの葉0.02 ppm→40 ppmなど、大幅に基準値を緩和しようとしている品目があり、全体としても基準は緩和されています。
 
改正案の問題点
・TMDI/ADI比(全ての作物に基準値ぎりぎりの農薬が残留していた場合に、日本人の一般的な食生活で摂取する量と許容量の割合)が上がり、余裕がなくなっています。具体的には、幼少児(1〜6歳)の場合、34%から63%に上がります。審査では、「80%(100%ではぎりぎりすぎるので、多くの物質の審査で80%を判断の目安にしている)を超えていないので、許容範囲内である」という判断です。しかし、許容量は個別の物質に対して実験された結果を元に設定されています。農薬、添加物など多くの物質に対して同様に判断していますので、これらが組み合わされた現代の生活では、リスクは高まっている可能性があります。

・TMDIの40%をホウレンソウが占めています。様々な食材に満遍なく振り分けられている場合、食べ方に偏りがあったとしても、極端にリスクが高まる事はありません。しかし、TMDIの内、40%もホウレンソウ由来になるという事は、ホウレンソウをたくさん食べる人のリスクが高まるという事です。平均的な日本人の4倍程度のホウレンソウを食べる人は、それだけで許容量に達します。
 
いろんな野菜を食べるAさんの場合 特定の野菜しか食べないBさんの場合
野菜A40 ppm 100 g 4 mg 野菜A40 ppm 300 g 12 mg
野菜B1 ppm 100 g 0.1 mg 野菜B1 ppm 0 g 0.0 mg
野菜C0.1 ppm 100 g 0.01 mg 野菜C0.1 ppm 0 g 0.00 mg
合計4.11 mg摂取 合計12 mg摂取(Aさんの約3倍)
全てが10 ppmなら合計3 mg 全てが10 ppmなら合計3 mgAさんと同じ)
 
特定のものを多く食べる人は、知らず知らずの内にリスクが高まっている可能性があります。また、いろんな野菜を食べる場合でも、別の農薬は、野菜BやCに偏っているかもしれません。それでも問題が無いと言えるでしょうか?

 人体への影響以外でも
EUでは、まだ一部ではありますが、ネオニコチノイド系農薬が原則使用禁止になっている中、日本ではこの様な改正がされています。はじめにも書きましたが、残留基準値の改正は、「メーカーからの適用拡大申請」に伴って行われるものです。残留基準値が引き上げられ、今まで認められていなかった使い方が認可されると言う事は、農薬の使用量自体が増加すると言う事に直結します。クロチアニジンだけでなく、2012年にはイミダクロプリドの残留基準値も引き上げられたばかりです。
まだ、蜂群崩壊症候群の原因が、完全にネオニコチノイド系農薬によるものだと断定は出来ません。しかし、すぐには死なないような低濃度であっても、みつばち等の昆虫に影響がある事は、いくつもの論文で報告されています。そんな中、使用量の拡大を許容し続けている日本と、関与が否定しきれないから一応禁止にするEUには、これほどの対応の違いがあります。

この残留基準値なら本当に人体には影響がないのかもしれません。蜂群崩壊症候群の原因が農薬以外にも有るかもしれません。これでいいのでしょうか?
 


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