ウイルスについて知ろう

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異 強毒化?弱毒化?

日本で広がっているウイルスのタイプについて

 

2020年8月5日に、国立感染症研究所から、日本で感染が広がっている新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のタイプについて、発表がありました。

https://www.niid.go.jp/niid/ja/basic-science/467-genome/9787-genome-2020-2.html

この結果、

  • 2月ごろまでは、中国の武漢で見つかったウイルスに近いタイプが広がった
  • 3月中旬ごろから、欧州で広まったタイプをベースとして、様々な変異が起こったタイプが各地で散発的に発生。
  • 6月ごろから増えてきたタイプは、欧州系統から変化したタイプの内の一つが、全国的に拡大。
  • 6月ごろから増えてきたタイプは、欧州系等と比べて6か所変化しているが、途中段階は見つかっていない。

6月以降の広がりは、若い人を中心に広がり、徐々に高齢者への感染も増えていました。初期の広がりとは、少し感じが違うので、その原因の一つとして、ウイルスの変異があるのかもしれません。調べた数が十分ではないので、はっきりとはわかりませんが、途中段階が見つかっていないことから、無症状者に広がっていた可能性が指摘されています。調査されなかった人の中で広がっていただけかもしれませんし、海外で変異したものが広がっただけかもしれません。

 

 

 

2. ウイルスの変異と、毒性、感染力の関係

無症状者で広がっていたとすると、病原性が非常に弱くなったけど、感染力は高いという可能性もありますが、国立感染症研究所の報告だけでは何とも言えません。多くの人は、変異と感染力、毒性の強さについて、知りたいと思うと思いますが、そんな簡単ではありません。実際には、このような事を調べた論文はほとんどないので、想像でしか答えられません。

 

この問題について、AASJの西川伸一先生が論文を紹介していました。結局、わからないという結論になるのですが、今の科学技術でわかるのは、これぐらいだという事を知ってもらうことが、正しく理解する第一歩だと思って紹介します。

https://aasj.jp/news/watch/13703

 

元の論文(ワシントン大学 アメリカ)

Deep mutational scanning of SARS-CoV-2 receptor binding domain reveals constraints on folding and ACE2 binding

 

方法

  • 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の、Sタンパク質の中の、ACE2結合ドメイン(感染するときに最初に結合する部分)に変異を導入(新型コロナウイルスのゲノム全体の約2%)
  • 201個のアミノ酸に相当する部分を、一つずつ、元のアミノ酸以外の19種類のアミノ酸に変えたものを作成(理論的には 201か所×19種類=3819種類だが、このうちの3804種類作った。)
  • 作った変異タンパク質を酵母に作らせた。酵母の表面に出てくるように細工して、人に感染するときに結合するACE2タンパク質との結合力を調べた

結果

  • 半分ぐらいの変異は、大きな変化がない
  • 変化があったものは、ほとんどがタンパク質が作られなくなったか、ACE2タンパク質との結合力が低下した
  • ACE2タンパク質との結合力が上がったものもあるが、結合力の上がるような変異が、実際の患者から見つかりやすいわけではない。

 

解説

タンパク質は、20種類のアミノ酸が、決まった順序に並んでできています。この論文でターゲットにしているSタンパク質は、コロナウイルスの表面の棘のようになっている部分です。この部分が、人の細胞の表面にあるACE2というタンパク質と結合して、感染が始まります。表面に結合するだけでは感染にはならず、ウイルスが人の細胞に取り込まれる−コピーを大量に作る−細胞を突き破って外に出る−次の細胞に結合する という繰り返しで、体内で増殖します。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のゲノムは、約10000個のアミノ酸の並びを示している設計図です。この設計図には、人の細胞に結合するもの、ウイルスの殻の部分、人の細胞内で増殖するために必要な部分など、色んな機能を持ったタンパク質が含まれています。このように、いろいろなタンパク質がある中で、重要そうに見えるSタンパク質(1273個のアミノ酸でできている)の中で、

人の細胞に結合する部分周辺の201個分だけを選んで、実験しています。これは、ウイルスのゲノムのたったの2%に書かれている部分ですが、全パターン作ってると3800種類ものパターンができてしまいます(20種類の内の1つは元のウイルスと同じなので、残りの19種類×201個のアミノ酸)。今は、簡単に変異体を作ることができますが、それでもこれだけの数を作るのはかなり大変な事です。

 

結果としては、生物学を知っている人なら当たり前と感じる結果です。1か所ぐらい変異が入っても、たいていの場合何も起こりません。そして、何か変化が起こる場合は、機能が低下するケースがほとんどです。自然界では多くの変異体は、変異前と同じか、機能が低下してしまって生き残れなくて消えていきます。ほんの一部の幸運な変異を獲得したものが、生き残っていきます。

さらに言えば、この実験で見ているACE2結合力も、結合量が強くなることが、必ずしも生存に有利とは限りません。ある程度の結合力があれば十分です。

例えば、ウイルスが、

 ヾ鏡できる細胞の近くに到達する

◆ヾ鏡する細胞に結合する

 感染する細胞に取り込まれる

ぁヾ鏡した細胞内で増殖する

ァ〜殖したウイルスが排出される

という段階があったとします。,任蓮感染できる細胞があるところまで到達できずに、咳、痰と一緒に外に出されてしまっては感染できません。免疫システムで排除されてしまう事もあります。〜イ涼奮でも、体内で増殖するよりも減っていくスピードの方が早ければ、病気にはなりません。今回の論文で見ているのは、△良分だけですが、もし感染できる細胞の近くに到達したウイルスの99%が細胞に結合できたとすると、どうでしょうか。結合力が10倍向上して、近くに来たウイルスの99.9%が結合するようになっても、,涼奮をクリアするウイルスが1%なら、,鉢△鬟リアする確率が、0.99%から0.999%に上がるだけで、ほとんどわからないような違いですが、,涼奮をクリアする確率が上がるような変化は、大きな意味を持ちます。このような段階を、律速段階と言います。

 

さらに、一つずつの変異では、差がなかったり、機能が低下してしまっても、複数組み合わせると、機能が向上することもあります。そこまで来ると、組み合わせの数がさらに膨大になり、体系的な実験を行うのは困難になります。しかも、機能が向上することが、ウイルスにとって有利とも限りません。ウイルスにとって、宿主(人間)が死なない程度に、増殖できるのが増殖には一番有利です。ウイルスは、将来を考えて進化しているわけではないので、短期的には強毒性株が増える可能性も十分に考えられます。

 

このように、これだけ膨大な実験を行っても、実際の感染力、病原性を推測するのはとても難しいというのが、現在の技術の限界です。しかし、今後、この結合部分を阻害するようなワクチンが開発されたときに、ワクチンの効きにくいタイプを予想するなど、基礎的なデータとしてこの実験は重要な意味を持ちます。

 

2020/8/16 外山

 

変異新型コロナウイルスSタンパク質の発現量と結合力。機能が低下した変異は赤、向上した変異は青で示している。横軸は変異を導入した場所。縦軸は改変後のアミノ酸。https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.06.17.157982v1.full より画像を取得

 

未感染者も新型コロナウイルスに対する免疫を獲得している

今回紹介する論文は、かなり難しいと思います。ご質問があれば、遠慮なくお問い合わせください。自分でも、基礎知識が無くて調べながら読みましたので、間違っているところがあればご指摘ください。 (外山)

 

Target of T Cell Responces to SARS-CoV-2 Coronavirus In Human with COVID-19 Disease and Unexposed Individuals

Grifoni et al., 2020, Cell 181, 1489-1501 ラホヤ免疫研究所 アメリカ

 

新型コロナウイルス(SARA-CoV-2)と反応する免疫(獲得免疫)がどれくらいあるのか調べたところ、新型コロナウイルスに感染した人だけでなく、新型コロナウイルスが出現する前に採取して保存してあった血液からも、新型コロナウイルスを認識する免疫細胞が見つかったという論文です。

 

(方法)

新型コロナウイルス(SARA-CoV-2)感染症から回復した患者の血液と、新型コロナウイルスのたんぱく質の断片(ほぼ全体を網羅するように設計した小さな断片を混ぜたもの)を反応させ、免疫系の活性化を調べた。比較対象として、2015〜2018年(新型コロナウイルス発生前)に採取した血液を、「健康な人の血液」として使用した。

 

(結果)

抗体

すべての新型コロナウイルス感染症患者の血液に、抗体が存在している。量は少ないが、健康な人の血液にも抗体が存在していた。

 

T細胞

新型コロナウイルスと反応するヘルパーT細胞は、すべての患者に存在していた。

新型コロナウイルスと反応するキラーT細胞は、70%の患者に存在していた。

健康な人の中にも、新型コロナウイルスと反応するヘルパーT細胞、キラーT細胞を持っている人がいた。

 

 

(解説)

感染後に免疫ができる = 抗体ができる

と思っている人が多いと思いますが、抗体以外にも獲得免疫があります。

 

獲得免疫に関わる細胞

ウイルスに感染された細胞:ウイルスに感染した細胞は、表面にウイルスの断片を提示する。この断片が、健康な細胞と感染されてしまった細胞を見分ける目印になる

B細胞:ウイルスのたんぱく質と結合する抗体を作る。抗体は、感染に重要な部位をふさいで、ウイルスを不活化したり、白血球が攻撃する目印にになる。

キラーT細胞:キラーT細胞は、提示された断片を目印として、感染細胞を攻撃する。

ヘルパーT細胞:ウイルスの情報をもとに、免疫系に指令を出す。

樹状細胞、マクロファージ:抗原提示細胞。ウイルスなど異物の断片を、B細胞、T細胞に届けて活性化する。

 

感染症予防のためのワクチン接種では、「抗体ができた」というだけでは感染症予防にはなりません。なので、ツベルクリン反応では、抗体の有無を見るのではなく、体が炎症反応を起こすかどうかを見ています。

 

今回紹介した論文では、新型コロナウイルスが世の中に存在しなかったときに採取した血液にも、新型コロナウイルスと反応する免疫細胞が存在している事がわかりました。この理由ははっきりしていませんが、おそらく今までにもいた普通のコロナウイルスと感染したときに、獲得した免疫系が、新型コロナウイルスとも反応していると考えられます。反応する免疫を持っていても、ほとんど効果の無い免疫細胞のこともあるので、感染や重症化を予防できると結論を出すことはできませんが、重症化する人と症状のほとんどない人の違いに関係している可能性があります。

新型コロナウイルスの感染拡大防止にはマスクが重要

新型コロナウイルスの感染が拡大防止には、マスクが効果的だという論文をテキサスA&M大学の研究者が発表しました。

 

Identifying airborne transmission as the dominant route for the spread of COVID-19

PNAS first published June 11, 2020

 

要約

  • 武漢、ニューヨーク、イタリアで行われた政策と感染者数の推移を調べた
  • ロックダウン、ソーシャルディスタンス、ステイホームといった対策では、1か月以上経っても感染拡大は止まらなかった
  • マスクの着用を義務化したことで、新規感染者数が減少。約1か月でイタリアで78000人、ニューヨークで66000人の感染が免れたと推測される

 

 

図3 新型コロナウイルスの感染経路

 

 

図2 政策と感染者数の変化

 

 

図3 新規感染者数

体を守る免疫系の暴走

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化の一つの原因として、免疫系の暴走が深くかかわっていると言われています。これは、新型コロナウイルスに限らず、病原性の高いインフルエンザなど様々なウイルスでみられる現象です。

 

東京大学医学研究科の河岡教授らのグループは、1918年に世界的に大流行し、2000万人以上の死者を出したスペイン風邪のウイルスが、免疫系にどのような異常を起こすのか調べました。スペイン風邪のウイルスは、既に存在しないので、この実験ではスペイン風邪のウイルスを人工的に作って、普通のインフルエンザ(2002年に患者から分離したもの)と比較しました。

 

論文1 普通のインフルエンザウイルスの表面のたんぱく質(HA)を、スペイン風邪ウイルスのものと入れ替えてマウスに感染させた実験

Nature. 2004 Oct 7;431(7009):703-7.

 

論文2 スペイン風邪のウイルス全体を作り、サルに感染させた実験

Nature. 2007 Jan 18;445(7125):319-23.

 

(結果)

ウイルス表面の一部だけを変えた論文1の実験も、全体をスペイン風邪にして詳細に調べた論文2でも、似たような傾向がみられています。

 

スペイン風邪のウイルスと普通のインフルエンザを比較すると

1. ウイルスの増殖を抑制する物質、ウイルスを攻撃する免疫細胞を活性化させる物質

  

 出てこない 又は 遅い (図の上の方)

 

 

2. 好中球(白血球の一種)の活性化や浸潤(白血球は、血管を流れるだけでなく、遊走と言って細胞の間を通って移動する事ができる)に関係する物質

  

 大量に、長期間出続ける (図の中段の一つと下の方)

 

 

それぞれ、免疫にかかわる物質(サイトカイン)の量を示している。 赤:増えた 緑:減った

 

 

(解説)

普通のインフルエンザの場合、感染初期にウイルスの増殖を抑えたり、免疫系を活性化する物質が出てきた後、短期間の間に通常の状態に戻ります。しかし、スペイン風邪ではウイルスを排除する物質が出てこない、遅い。逆に、過剰に出てきたり、いつまでも出続けるというように、バランスが崩れてしまっています。過剰に長期間活性化された免疫系は、感染した細胞だけでなく必要以上に人の細胞を破壊し、体を蝕んでいき、死に至らせます。スペイン風邪では、こんなことが起きていました。

新型コロナウイルスでも、似たような反応が起こっている事が、わかってきました。論文1で、インフルエンザウイルスの一部を入れ替えただけでも免疫系に大きな影響が出るように、全体的には似ていても、病気の重さが大きく変わるという事があります。普通のコロナウイルスは、重症にならないのに、重症化しやすいものがいるのも、これが関係していると考えられています。

 

スペイン風邪の場合(サイトカインストーム)

 

新型コロナウイルスでも似た反応が起こる

 

感染

 

 ↓

 

ウイルスを抑える反応が起こらない

 

 ↓

 

ウイルスが大量に増殖

 

 ↓

 

免疫系が過剰に反応(過剰な炎症)

 

 ↓

 

重症化

 

 

炎症とは

炎症は、皮膚が赤くなる現象だけではありません。感染、ケガなどで傷ついた細胞を破壊して、新しく作り直す現象です。過剰な炎症反応は、破壊する必要のない細胞まで破壊してしまい、機能不全になってしまいます。

 

 

 

(おまけ 生物の人工合成)

さらっと、人工的に作ったと書きましたが、多くの人には衝撃的なことではないでしょうか?インフルエンザの場合、一つのウイルスの中に遺伝子として8本のRNAが入っています。RNAは、生物の中でDNAをコピーして作る事ができるので、この8本の遺伝子と、ウイルスを作るのに必要な酵素の遺伝子をベクター(遺伝子の運び屋)とつないで細胞に入れてやると、インフルエンザウイルスができます。簡単に言ってしまうと、ウイルスが感染しなくても、ウイルスの遺伝子と必要な酵素を直接入れてやると、インフルエンザウイルスが増殖してきます。

今回紹介したグループが、インフルエンザウイルスを人工的に作る技術を確立したのは、20年以上前(自分が大学院生だったころ)でした。インフルエンザを人工的に作ることができるようになったので、既に消えてしまった過去のインフルエンザを蘇らせて、なぜこんなに人が死んだのか調べることができるようになりました。簡単とは言いませんが、ウイルスや小さな細菌なら、技術的には人工的に作る事ができるようになってきた時代で、遺伝子の一部を入れ替えて、機能を調べるなんてことは、当たり前の技術になっていた時代です。

 

そんなに前から、インフルエンザウイルスを人工的に作っていたのであれば、新型コロナウイルス(COVID-19)も同様の方法で人工的に作ったんじゃないの?って言われそうですね。遺伝子の配列がわかっていれば、その通りに作ることはおそらく可能です。しかし、実際の遺伝子配列を見る限り、人工的に作ったものではなさそうです。人間が設計したと考えるには、あまりにも突拍子もない発想で、根拠のない様々な改変が重なっています(http://1.nagoyaseikatsuclub.com/?eid=299)。

この研究のように、「過去に存在していたウイルスの性質を調べる」「一部分を入れ替える」という事はしますが、全く新しいものを設計するのは非常に困難で、そんな面倒で成功する確率の低いことは普通はしません。この頃よりはるかに技術の進歩した現在でも、一部分を入れ替えただけでも、思わぬ事が起こってしまうのが現実です。

 

2020/05/29 外山

新型コロナウイルスの広がり(アイスランド)

アイスランドで、新型コロナウイルスがどのように広がっていったのか調べた論文です。感染リスクの高いところに行った人や、感染者と接触した人に急速に広がっていきましたが、その他の人への広がりは抑えられていました。

 

Spread of SARS-CoV-2 in the Icelandic Population

2020/4/19 The New england Jornal of Medicene(電子版)

アイスランド大学

 

調査の方法

  1. 最近、感染の広がっている国に行った人を、高リスク者として新型コロナウイルスの検査をした
  2. 一般の人に協力してもらい、新型コロナウイルスの検査をした
  3. 陽性が判明したら、感染者と接触した人を、高リスク者に追加して新型コロナウイルスの検査をした

このように、高リスク者と一般の人に分けて、新型コロナウイルスがどれくらい広がっているか調べました。

 

ターゲット

高リスク者 (2020/1/31〜3/31まで調査)

・最近、感染の広がっている国に行った人と、感染者と接触のあった人 9199人

 

一般の人 

・自由参加 10797人 (2020/3/13〜4/1に調査)

・ランダムに招待 2283人 (2020/4/1〜4/4に調査)

合計すると、人口の6%に相当する人数になる

 

結果

4/4現在

高リスク者:       9199人中1221人が感染していた 13.3%

一般の人:          10797人中87人が感染していた    0.8%

                            2283人中13人が感染していた  0.6%

 

10歳未満の子供は、10歳以上の人よりも陽性率が低かった 

高リスク者:       6.7%:13.7%

一般         :       10歳未満に陽性無し

 

女性より男性の方が感染者の割合が高い

高リスク者:       女性 11.0%:男性 16.7%

一般         :       女性  0.6%:男性   0.9%

 

初めのうちは、海外での感染が多かったが、後半は家族間、感染経路不明が増えてきた。

 

(解説)

高リスク者に、多くの感染者が出ましたが、一般の人への感染は、低く抑えられていて、この調査をした期間を通して増える事は有りませんでした。人口20万人程度のアイスランドで、1300人以上の感染者がいますが、リスクの高い人への感染は、爆発的には増えていませんでした。一般の人の中にも0.8%程度の感染者がいるので、少ないとは言えませんが、感染者との接触を避ける事が大切だという事を示しています。10歳未満の子供や、女性の方が感染者が少ない傾向はみられますが、安心できるような差ではありません。

リスクの高いところには行かないという基本を、改めて示した論文です。

2020/4/24 外山

 

新型コロナの検査をして陽性だった人の約88%が、検査当時に無症状だった

驚きました。新型コロナの検査をして陽性だった人の約88%が、検査当時に無症状でした。

以下、論文の解説です。

 

Universal screening for SARS-Cov-2 in woman admitted for delivery

出産予定の女性を全員、新型コロナの検査をした。

 

April 13 2020.  The new England journal of medicine  コロンビア大学 アメリカ

 

2020年の3/22から4/4までに、215人の妊婦を全員検査した。そのうち4人(全体の1.9%)の妊婦は熱などの症状があり、検査結果も陽性だった。

残りの211人は熱などの症状は無かったが、その211人のうち210人を検査した。(1人は検査無し)

 

無症状だった210 ⇒ 29 陽性13.7%

            181 陰性 → 1人が3日後、陽性に(症状あり)

 

【結果】

検査で陽性だった33人の内、症状があった人は4人(12.1%)、症状が無い人は29人(87.9%)だった。

⇒  87.9%の人は症状が無かった  ⇒ このうち、3人(10%)がその後発熱した。

1918年のインフルエンザ大流行時の流行防止介入と効果

この先に例え一時的にコロナが収束したかのような時期が来たとしても、安易に油断はできません。
以下の論文は、1918年にインフルエンザが世界的な大流行をおこした際の、各都市の対応とその効果について検証しています。

 

 

Public health interventions and epidemic intensity during the 1918 influenza pandemic
1918年のインフルエンザ大流行時の流行防止介入と効果
国立アレルギー感染症研究所 アメリカ 7582-7587 PNAS May1.2007  vol.104

1918年のインフルエンザの大流行は、アメリカ国内での死者は50万〜67.5万人、世界中では5000万人から1億人の死者が出ていたと推定されている。アメリカ国内の17都市の19種の流行防止介入のタイミングとその種類(学校閉鎖、劇場閉鎖、集会の禁止など)が多く、早く実行したほど感染が減少したかどうかを検証した。

 

【結果】
多くの介入をより早く実行した都市ほど、介入しなかった都市に比べてピークの時の死亡率が50%低かった。さらに、多くの介入をより早く実行した都市は総死亡数も下げたが、介入しなかった都市に比べて違いは20%以下と小さかった。これは1918年の介入で、6週間以上続けた都市がほとんど無かったからである(訳者注:第2波が再発した。第1波で死者が少なかった都市ほど、第2波の死者が多かった事による)

 

【結論】
より早く、多くの介入(学校閉鎖、劇場閉鎖、集会の禁止など)をすると感染が減少するが、介入をゆるめるとウィルスは再発する。(伊澤)

コロナウィルスの今後を予測する

ハーバード大学が、新型コロナウィルスの今後を予測しています。

 

Projecting the transmission dynamics of SARS-CoV-2 through the postpandemic period.

大流行後のSARS-CoV-2の流行を予測する  ハーバード大学 14 April 2020 Science

 

SARS-CoV-2の今後を予測することが緊急です。SARS-CoV-2の近縁ウィルス(ベータ―コロナウィルス類)OC43とHKU1に関する、季節性、免疫性(免疫がどれぐらいの期間有効か?この近縁のウィルスOC43とHKU1の場合、感染して免疫が出来ても1年しか有効ではない)、交差免疫性(OC43とHKU1に対して免疫がある人がSARS-CoV-2に対して、どの程度免疫が有効か?)などのアメリカ国内のデータを当てはめてSARS-CoV-2の今後を予測した。

 

初期の大流行後に冬に再度、流行が起こることを予測した。今のところ他に有効な防ぐ手段(薬、ワクチンなど)が無いので、ソーシャルディスタンシング(隔離)の成功のみが、医療能力を越してしまうかどうかにかかっている。医療能力の充実と効果的な治療法は、(いったん流行が収束しても再発しそうな時に行う)ソーシャルディスタンシングを成功させ、集団免疫を獲得させる。
SARS-CoV-2に対する免疫の程度と期間を知るための、長期の抗体検査が必要です。一見終わったかのように見えても、2024年末までは伝染の再発がありうるので、SARS-CoV-2への監視を続けなければならない。

 

 

以下【解説】

 

SARS-CoV-2(新型コロナウィルス)が今後どうなっていくのか、予測する上で重要な点は次の4点です。

 

感染に季節性があるのか
免疫が有効な期間 (一度感染した後で、どの位の期間免疫が続くのか?)
交差免疫 (新型コロナ以外のコロナウィルスに対しての免疫が、新型コロナにどの位有効か?)
感染を抑え込む力の強度と期間(時期)

 

新型コロナ以外のコロナウィルスとして、ヒトに感染するコロナウィルスOC43とHKU1が知られています。どちらも風邪の症状を起こしますが、新型コロナ同様に症状が出なかったり、症状が軽いという特徴があります。それ以外に

 

季節性がある(冬が感染のピーク)
交差免疫がある(OC43への抗体は、SARS-CoV-1にも作用し、その逆も当てはまる)

という特徴があります。


これらの特徴から、新型コロナの今後を予測すると

 

免疫が長期間持続すれば → 新型コロナは無くなっていく

 

免疫が他のコロナウィルス同様、1年限りだとすると → インフルエンザの様に社会に定着し、秋から冬に流行が始まり感染が広がっていく
→ とすると、ソーシャルディスタンシング(隔離)を患者の推移を見ながら、何度も繰り返していく必要がある。薬、ワクチンなど有効な他の手段が導入されるまでは、医療崩壊を避けるために、随時ソーシャルディスタンシングを実行する必要があり、2022年まで、もしくは2024年末までソーシャルディスタンシング必要。

 

 2020年の冬、春の感染が低いレベルで終息してソーシャルディスタンシングを軽視すると、2020年秋に大流行する可能性がある。1918年のインフルエンザの大流行の時にも、アメリカで同じようなことが起きた(PNAS.May1.2007 国立アレルギー感染病研究所 アメリカ)

新型コロナウイルス(SERS-CoV-2)は人工的に作られた?

新型コロナウイルス(SERS-CoV-2 病名COVID-19)が、生物兵器として作られた。その証拠に、HIVの遺伝子が入っている。といううわさ話があります。そんなはずはないのですが、うわさになっている、spikeタンパク質の遺伝子の配列を見てみたところ、最も近い、コウモリのウイルスに無い短い断片が入っていましたが、これは、様々な生物が持っているもので、HIVの遺伝子を入れたとはとても言えないものでした。

 

2020/3/17に、Nature Medicineに、この件を検証した論文が出たので、紹介します。

新型コロナウイルス 体外での感染力持続時間

新型コロナウイルスの感染を避けるためには、どんなところに注意したら良いでしょうか。米国立衛生研究所(NIH)から、大切なデータが公表されました。

 

  • エアロゾル(霧状の液体)として、3時間後で感染力が約1/6.3になる
  • 最も長く持続したプラスチック上でも、3日で約1/1000になった

 

この結果を見ると、体の外では長くても数日で感染力がほとんどなくなります。今までの感染者の傾向を見ても、商品を介した感染はほとんど気にする必要は無いと考えていましたが、工場での製造者など、何日も前に触った人の事を気にする必要は無さそうです。

 

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