化学化合物(環境毒物・環境汚染)について知ろう

飲料水中のマイクロプラスティック 

キーワード

マイクロプラスチック

 Microplastics in drinking water: A review and assessment,DafneEerkes-Medrano et.al, Current Opinion in Environmental Science & Health February 2019, Pages 69-75の概略

 

様々な国のマイクロプラスチック調査をまとめた研究

 

 

要点

 

マイクロプラスチックの存在

  • ほとんどの水道水、ボトル入りミネラルウォーターから、マイクロプラスチックが見つかる
  • 1μmなど非常に小さいものまで調べると、1Lあたり数千個のレベルで含まれている

混入経路

  • 地下水を原水としているものと比べて、河川の表層水を使っているものに多く含まれている(環境汚染)
  • 工場の配管、ボトル由来と思われるマイクロプラスチックも多く見つかっている(製造上の問題)

人体への影響

  • 環境ホルモンなどの影響が懸念されるが、量を考えるとこの影響は小さいと予想される
  • 0.1μm以下のサイズになると、腸から血液に入り込み、大きな問題となる可能性がある

 

*ポリアミド (PA:ナイロンなど), ポリアクリルアミド (PAM:プラスティックの酸化防止剤), ポリアクリル酸ブチル (PBA:接着剤、塗料などに使用), ポリエチレン (PE:ポリエチレン製バッグ等), ポリエチレンテレフタラート(PET:ペットボトルなど), アクリル樹脂(PMMA:窓剤等), ポリプロピレン(PP:繊維、文具など), ポリエルテル (PEST:繊維、ペットボトルなど), ポリスチレン (PS:発泡スチロール等), ポリトリメチレンテレフタラート (PTT:自動車部品など), ポリ塩化ビニル (PVC:パイプ、クッション材など)

1000㎛=1

論文

飲料水の種類
( )の数字は水のサンプルの数

場所

粒子の数の最小と最大(最小〜最大);

全体の平均数

粒子の大きさ

粒子の種類

粒子の組成

*Kosuth et al. 2018

水道水 (n=159)

14か国(5大陸にある)

0 60.9 /L;
5.45
/L

先進国は、発展途上国に比べると粒子の数が多かった。

0.10-5.00 mmの大きさ。平均 0.96 mm の長さ。

 

繊維、破片、薄膜。

繊維が大半(98%)

不明

Mintenig et al. 2019

上水処理施設の原水(地下水源)

注入口(n=6), 排出口 (n=5), 家庭水道メーターの飲料水 (n=5) 水道水 (n=5), 井戸地下水 (n=3)
 

ドイツの5都市

0 7 /m31,000L;

0.7 /m3 (ただし24のサンプルのうち14MP検出なし)

*直下の、チェコの研究とは水源と、検出される粒のサイズの違いがあるため、大きな差異があると考えられる。

 

50-150 µm

破片、繊維と考えられる

PEST, PVC, PA, エポキシ樹脂(電子回路基板などに使用), 及び PE.

これらはDWの浄水や運搬に使用するプラスティック由来の可能性もある。例えば、パイプの多くはPVCもしくはPEで、接手にPAを使う。

 

Pivokonsky et al. 2018

浄水処理場(n=3)の原水及び浄水

 植物プランクトンの発生が少ない冬期にサンプル摂取

尚、原水は2つがため池から、1つは川から取水されている。

チェコの3つの違う都市にある、水源や処理技術の違いがある浄水処理場

各処理場が供給する上水を使用する人数は以下の通り

処理場1:150万人

処理場2:6万人

処理場3:13万人

原水1383-4464 /L

浄水243-684 /L 全体の平均は不明だが各処理場の原水と浄水中の粒の平均は以下の通り

原水

処理場11473±34

処理場21812±35

処理場3 3605±497

 

浄水

処理場1443±10

処理場2:338±76

処理場3:628±28

95%が10μmを下回った。

1 μm >100 μm
1
5 μm  (原水の40-60%、浄水の25-60% )

5-10 μm (原水の30-40% particles、浄水の 30-50%

尚、素材の組成までは正確にわからないが 最大、原水には2181 /L浄水には 230 /L   1 μmを下回るサイズで数えられた
 

繊維、球体、破片. 破片と、繊維が一番多い

原水: PBA, PE, PET, PMMA, PP, PS, PTT, PVC
浄水: PAM, PE, PET, PP, PVC.
PE PP が両方で一番多い種類であった。

 

Oßmann et al. 2018

再利用可能PETボトル(n=12)のミネラルウォーター、使い捨てPETボトル (n=10)、再利用可能グラス (n=9)、使い捨てガラス瓶(n=1)

ドイツ、バイエルン州の食料品店

0 to 16634 /L ;

3633±3860.96  /L

 

再利用PETボトルから最大平均個数の検出(プラスティックの酸化防止剤も検出)。

使い捨てPETボトル2649 ± 2857  /L, 再利用PETボトル4889 ± 5432  /L

ガラス瓶3074 ± 2531/Lガラス瓶からの検出は、容器そのもの以外からの汚染からも示唆する。)

 

1 μm から 10 μm

90%以上が5μmを下回った。

容器別の平均個数は以下の通り。

使い捨てPETボトル <1.5 μm (1419±1614) >1.5μm <= 5 μm range (1184±1329). >5 μm (45±64).
再利用PETボトル <1.5 μm (2298±3048) >1.5μm <= 5 μm (2365±2457). >5 μm (226±307).

ガラス瓶 <1.5 μm (1031±1773) >1.5μm <= 5 μm  (3860±1746).

 >5 μm(1401±2588).

不明

PET, PET+オレフィン, PE, PP, 最も生産量が高く自動車のタイヤ材によく使われるスチレン・ブタジエンゴム等。

 

Schymanski et al. 2018

再利用プラスティックボトルの水 (n=15), 使い捨てプラスティックボトルの水 (n=11), カートン (n=3)、ガラス瓶 (n=9).

炭酸の量によって、ミネラルウォーター、微スパークリングウォーター、スパークリングウォーターに分類した

ドイツの食料品店

2 241 /L、全体の平均は不明だが、容器別は以下の通り。

 

再利用プラスティックボトルから最大平均個数の検出。

使い捨てプラスティックボトル (14±14)、再利用プラスティックボトル (118±88)、ガラス瓶 (50±52)、カートン (11±8)
 

5 μm >100 μm
5
10 μm が最も多く (41%) 10-20 μm (30%) 20-50 μm (22%)と続く。 50-100 μm 5% のみ。 >100 μm 2%

破片

PET, PEST, PE, PP, PA

Wiesheu et al. 2016

ボトル入りミネラルウォーター (n=1)

不明

1

不明

繊維

PET

 

 

人への影響は

ポイントは2つ

  • MPに吸着した環境汚染物質及び添加物摂取量
    これら物質のMP経由での摂取割合は、それらの食物経由での摂取割合からすれば、わずかな割合(浄水は1.8 × 10^-9 9.9 × 10^-4%、水道水は 8.6 × 10^-6~ 4.6% ボトル水は4.2 × 10^−8 ~0.02% )でしかないと考えられる。
     
  • MPの存在が人体の細胞へ慢性的炎症や、細胞ダメージにつながり得る。

MPの摂取もしくは転移に関する最近の研究では、人への影響に関して、消化管からの吸収を摂取経路であるだろうとみている。他の臓器への吸収と移行は、様々な要因(サイズ、表面の特徴)によるが、小さいほど移行効率が良い。2 μm PS 粒子は、腸の層を超えた転移はあまり見せていない。 しかし、50 μm より小さいPE粒子は、リンパ節から肝臓や脾臓に移行し、炎症や免疫反応につながった。1 μm 5 μmを下回るサイズが高密度に存在するという上記のMPs報告は、転移と細胞ダメージを示唆し、さらなる研究が必要である。

 

 飲料水へのMPの混入経路図


プラスチック製品による海の汚染

この写真は、(株)名古屋生活クラブのスタッフが、渥美半島のどろんこ村での研修で、薪にするための流木を拾っているところです。しかし、流木だけでなく、プラスチック製品のごみも目に付きますね。ここは、比較的少ない方だと思いますが、もっとひどい所を見たことがあるのではないでしょうか。
現在、世界中の海が、プラスチックで汚染されています。

 
大きな問題となっているマイクロプラスチック
  • 小さなプラスチック(正式な規定は無く、研究者によって0.5〜5 mm以下とばらつきがある)
  • 歯磨き粉、化粧品などに含まれるビーズ(製品の段階で小さなプラスチックになっている)と、大きなプラスチックが粉々になったものがある。(アジアでは後者が多い)
  • 元のプラスチックに含まれる成分(ビスフェノールA、フタル酸エステル類など)だけでなく、海水中の様々な毒物(PCBs、DDTsなど)が、マイクロプラスチックに吸着している
  • 鳥、魚介類、プランクトンが食べてしまい、蓄積する。特に牡蠣などの貝類に多く蓄積する
  • マイクロプラスチックを食べた生物に、毒物が移行する
 
この様に、多くの問題のあるマイクロプラスチックですが、こんなところにも影響がありました

スチレンの発ガン性をNTPが2011年に認定しました

スチレンの発ガン性をアメリカ国家毒性計画(NTP)2011年に認定しました。
Report on Carinogens,13
 
ヒトでの発ガン性の証拠は限定的、毒物実験では発がん性に充分な証拠がある。
 
ヒトでの発ガン研究
  1. スチレン曝露した労働者にリンパ造血組織のガンの発生率と死亡率の増加とリンパ球のDNA付加体(DNAにくっつく)と遺伝障害の増加が見られる。
  2. 食道ガンとすい臓ガンの増加にも、ある程度の証拠が有る。
  3. 発ガン性の完全な証拠はないが、スチレン曝露した労働者のリンパ球に、DNA付加体と染色体異常があることから、スチレン曝露と発ガンの関係は信頼できる。
  4. ヒトでの発ガンの多くの証拠は、強化プラスチック産業、スチレン−ブタジエンゴム産業という2つの分野から来ている。
 
動物実験
  1. CD-1マウスのオス、メスの吸入実験で良性肺しゅよう及び悪性しゅよう(両者をまとめる)
  2. オス、B6C3Fの経口投与で、良性+悪性肺しゅようが投与量に比例して増加。
 
遺伝毒性
  1. スチレンの分解産物、スチレン-7.8-オキサイドはDNA付加体を作る(DNAにくっつく)
  2. スチレン-7.8-オキサイドは、試験管内の実験では突然変異を起こす。
  3. マウスへの投与でDNAの1本連鎖が切断される。
 
曝露
スチレン製造工場、タバコの煙、自動車の排ガス、生シナモン、ポリスチレン容器から、スチレンの溶出
 
カナダの研究では、
子ども 0.8μg/kg/
大人 0.4μg以下/kg/
 (体重が50kgとすると、20μg//1日→1日、1人20μgの摂取)
喫煙者 3.5μg/kg/
    
   
次の論文はポリスチレン容器からのスチレン溶出量を調査しています。
調査したのはDFA(アメリカ食品医薬品局)です。
 
Updated evaluation of the migration of styrene monomer and oligomers from polystyrene food contact materials to food and food simulants

ポリスチレン容器から食品へのスチレン及びスチレンオリゴマーの溶出量の最新調査
ポリスチレン容器から食品への溶出量は、
 
スチレン(モノマー) 2.6163ng(2.6μg/kg163μg/kg
スチレンダイマー
(スチレンが2つ結合しているもの)
 検出限界以下〜4.8ng/g

解説
カップ麺などの容器には、ほとんどポリスチレン(PSと表記)が使われています。
ポリスチレンの中には、スチレンが残っており、食品に移行します。
今、そのスチレンがNTP(アメリカ国家毒性計画)により、2011年に発ガン性が認定されました。IARC(国際ガン研究機関)によっても、2002年にグループ2B(ヒトに対して発がん性の可能性がある)に分類されています。
 
2015年2月の日本スチレン工業会のホームページを見ると
・スチレンには発がん性がない
IARCの認定は、多くの科学者が新しいデータを考慮していないと指摘している。
・遺伝毒性はない
としていますが、IARCNTPという、2つの大きな機関の認定と大きなへだたりがあります。
1


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