共生細菌について知ろう

食物繊維|わずか2週間で改善が期待できた

キーワード 食物繊維 大腸がん

 

2つのグループの食事内容を2週間、入れ替えたらどうなった?

 

アフリカ系アメリカ人(脂肪↑ 炭水化物、食物繊維↓)の食事と

田舎のアフリカ人(脂肪↓ 炭水化物、食物繊維↑)の食事を2週間入れ替えた実験によれば、

 

アフリカ系アメリカ人は、「短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)」=腸内環境が良いとされる値が増え、「総胆汁酸(のちに発ガン性がある物質に変わる)」の価が減りました。

逆に、田舎のアフリカ人はそれらの価が悪化し、たった2週間の食事が与える影響の大きさを読み取ることができます。(下表)

補足

「短鎖脂肪酸」は食物繊維が分解されてできるもので、アレルギーを抑えたり、食欲を抑えたり、糖尿病になりにくく(※)なります。

食物繊維が多い食事が、健康を保つ秘訣のひとつということです。

※なぜ糖尿病になりにくくなるか

食事を摂ることや、短鎖脂肪酸が多いことで分泌されるホルモンGLP-1(糖尿病治療薬にもなっています)が、すい臓に働きかけインスリンを出させます。またGLP-1は脳にも働きかけ、食欲低下を促し体重低下(改善)につながります。それらの複数の経路で、糖尿病になりにくくなります。

 

食物繊維を多く摂る→短鎖脂肪酸が増える→健康改善が見込める

名古屋生活クラブが食物繊維摂取を薦めるのはこういった理由です。食べ物は薬そのものではありませんが、体に作用し、健康を促進することも阻害することもできます。一緒に考え、健康になりましょう。

 

引用:

Fat,fibre ancl cancer risk in African American and rural Africans.

アフリカ系アメリカ人と田舎のアフリカ人(南アフリカ共和国)の脂肪、食物繊維の摂取と、大腸ガンの関係

ピッツバーグ大学・アメリカ Nature Communications. 2015 April

ストレスの多い生活|自己免疫病を増加させる原因の一つ

キーワード

ストレス 腸内細菌 自己免疫病

 

自己免疫病の原因の一つが、ストレスの多い生活による腸内細菌のバランスの崩れからくるとは。

ストレスはどれだけ私たちの体に悪い影響を与えているか。

 

Social-stress-responsive microbiota incluces stimulation of self-reactive effector T helper cells.

 ストレスによって起こる腸内細菌の変化が自分に反応する(自己免疫)エフェクタT細胞を刺激する。

Bar llan 大学 イスラエル
m Systems.2019 volume4. lssue4


要旨

 

ストレスの多い生活は、メカニズムはわかりませんが、自己免疫病(免疫細胞が自分を攻撃する病)の原因の一つです。ネズミの実験で慢性的なストレスがネズミの腸内細菌を、より病原性の高い種類に変えることを示した。
ストレスによって変わった腸内細菌は、腸間膜リンパ節(腸内の免疫細胞が集まっているリンパ節)中のエフェクターT細胞を増加させ(免疫力が増加している)ており、その中には、ミエリン(神経細胞中のタンパク)を攻撃してしまう、エフェクターT細胞も存在する。
(訳注.例えば自己免疫病の多発性硬化症では、自分の免疫細胞が神経細胞のミエリンを攻撃してしまって起こる病気です。)
バクテリア同士が情報を共有するクオラムセンサーCは、同時にノルアドレナリンにも反応します。(ストレスによって上昇する交感神経が出す神経伝達物質であり、副腎から出るストレスホルモンでもある)。そのクオラムセンサーを阻害すると、上記のようなエフェクターT細胞の増加が減少し、腸間膜リンパ節中の時に病原性をもつアシネトバクター菌なども減少する。

 

解説

 

クオラムセンシング
一部の細菌が周囲の細菌と小分子をやりとりしながら菌の密度を感知し、それによって増殖などを調節しています。その小分子の一つに交感神経から出されるノルアドレナリンがあり、つまり、

ストレス

交感神経興奮

ノルアドレナリン放出

クオラムセンシング
細菌の受容体

ストレスに反応する病原性のある細菌の増殖
(ニキビの原因菌 プロピオバクテリウム、アクネ)

免疫細胞の増殖、分化

エフェクターT細胞

その一部が自己を攻撃

自己免疫病の増加
(リューマチ、多発性硬化症など)
 

伊澤

食物繊維をたくさん摂ろう-マンガ

キーワード

食物繊維 麦ごはん 糖尿病

 

食物繊維のことをわかりやすくマンガにしました

 

食物繊維を1日30g摂取が目標

麦ご飯がおすすめ。

 

腸内細菌-うつ病

腸内微生物とメンタルヘルスとの関係が判明

The neuroactive potential of the human gut microbiota in quality of life and depression

Nat Microbiol. 2019 Apr;4(4):623-632

Valles-Colomer Mら ベルギー ルーヴェン大学

 

1054人の腸内細菌叢とうつ病(自己申告、診断)との関係を解析

 

結果

・うつ病患者では、コプロコッカス属(Coprococcus)とディアリスター属(Dialister)が少なかった

・別のコホート研究に参加した1064人で解析しても、同じ傾向が見られた

・参加者の糞便のDNA解析を行った結果、ドーパミン代謝物を合成する能力が高いほど、精神的QOL(生活の質)が良い傾向が見られた

 

菌移植-自閉症

 

自閉症と腸内細菌の関係が明らかに

 

キーワード

自閉症 菌移植 腸内細菌

 

 

Long-term benefit of microbiota transfer therapy (MTT菌移植) on autism symptoms and gut microbiota

菌移植(経口、経腸)が自閉症と腸内細菌に及ぼす長期(2年後)的な改善

scientific reports 2019.4.9 アリゾナ州立大学アメリカ

 

たくさんの研究が、自閉症の人達に腸内細菌叢の異常を報告しており、腸内細菌と自閉症行動との関与が示唆されている。

私達は菌移植実験を以前行った。それは18人の自閉症の子供に抗生物質(バイコマイシン)投与で腸内の細菌数を減らした後、腸を洗浄し、胃酸を抑える薬を投与し(移植した菌の生存を助ける)た後、腸内細菌叢を経口(冷凍)もしくは、肛門から注入し(2.5兆個)、その後少しずつ菌を投与した(25億個/日)実験です。

この以前の実験によって、腸の症状が緩和され、自閉症の症状も改善された。

その2年後にも、腸も自閉症も改善が維持されている。

腸内細菌の種類(多様性)が増加し、とくに、ビフィズス菌が5倍と、プレボテラ菌が84倍と大幅に増加していた。

 

ロイテリ菌-自閉症と腸内細菌

自閉症は腸内細菌と関係する

 

キーワード 自閉症 腸内細菌 ロイテリ菌

 

高脂肪食を食べさせた母ネズミから産まれた子ネズミの自閉症の様な社会的異常、それがロイテリ菌の投与で普通に近づいていく

Microbial reconstitution reversers maternal diet-induced social and synaptic deficits in offspring

 

(高脂肪食を食べさせた母ネズミから産まれた)子ネズミが(自閉症)の様な社会的異常(同時に神経のシナプスにも異常がある)、それがロイテリ菌(Lacto bacillus reuteri)の投与で普通に近づいていく。

ベイラー医科大学 アメリカ Cell 165.1762-1775

 

要旨

妊娠中の母ネズミに高脂肪食(脂肪分60%)を与えると子ネズミに自閉症の様な神経発達異常が増加する。

高脂肪食は子ネズミの腸内細菌を変化させ、それが子ネズミの社会行動に悪く作用する。この様な異常は、普通のエサで育てられた子ネズミと同居させると(フンを食べ合うので)改善される。

 

普通のエサのマウスの子どもの社会的な行動は、脳のVTAという場所のシナプスを増強させるが、高脂肪食の子ネズミでは増強が起こらない。

更に高脂肪食の子ネズミの視床下部(脳の部分)にはオキシトシン(愛情や社会性に関係するホルモン)が少ない。

1つの腸内細菌(ロイテリ菌)がオキシトシンの量を正常化させ、シナプス増強や社会行動異常を直していく。

 

解説

母ネズミに高脂肪食を食べさせると

 


子ネズミの腸内細菌のロイテリ菌が9分の1に減少

 

 

迷走神経を通じて脳に作用

 

 

オキシトシン減少

 


 

行動異常が起きる

 

のでロイテリ菌の投与、もしくは鼻からオキシトシン投与で改善される。

自閉症は遺伝子異常でも起こるので、他の原因もあるのですが、1つの原因に腸内細菌がある!!

 

伊澤

プロバイオティック-LGG乳酸菌と骨

LGG乳酸菌は骨の消失に効果がある?

 

キーワード 乳酸菌 腸内環境 女性ホルモン

 

「女性ホルモンの不足によって骨の消失は起こり、腸内細菌が関与しているので、プロバイオティック(LGG乳酸菌)で防ぐことができる」という論文です。

女性ホルモン(エストロゲン)の不足によって骨の消失は起こり、腸内細菌が関与しているので、プロバイオティック(LGG乳酸菌)で防ぐことができる

エモリー大学 アメリカ

The journal of clinical investigation vol126.No6.June2016

 

エストロゲンの不足で生じる炎症が骨の消失につながっていく。ネズミではエストロゲンの不足は腸の透過性を上げ(腸もれ)、リンパ球の炎症性のTh17細胞を増やし、それが骨の破骨細胞の活性を上昇させる(骨の消失)。バクテリアなどを無くしたマウスでは骨の消失が起こらないので、骨の消失に腸内細菌が関与していることがわかる。

1週間に2回乳酸菌のLGG菌を投与すると、腸の透過性(もれ)が減り、完全に骨消失を防いでくれた。一方、大腸菌やLGGの変異株では防いでくれなかった。

私達のデータは閉経後の骨そしょう症にプロバイオティックが腸もれを改善し、治療効果がある可能性を示している。

腸内細菌-牛乳アレルギー

キーワード

腸内細菌 アレルギー

 

以下、腸内細菌が牛乳アレルギーとも関っていることを示す論文です。

 

Lactobacillus rhamnosus GG-supplemented formula expands butyrate-producing bacterial strains in food allergic infants

 

食品アレルギー(牛乳アレルギー)の乳児にLGG乳酸菌を投与すると

酪酸を作る腸内細菌が増える(牛乳アレルギーが治った子が出てくる)

 

The ISME Journal(2016).10.742-750

Cathryn R Nagler シカゴ大学

 

1ヶ月〜12ヶ月の乳児でIgE(免疫グロブリンE)が関与している牛乳アレルギーの乳児19人の内、

5人が耐容に(牛乳アレルギーが治り)、12人がアレルギーのままだった。(6ヶ月後)

 

この実験以外に、シカゴ大学の研究者はAnaerostipes cacae という腸内細菌の一種(クロストリジウム目)が、

牛乳アレルギーを防いでくれる菌だという論文を出しています。

 

Nature medicine 14 January 2019

 

腸内細菌-食物繊維

キーワード

腸内細菌 食物繊維

 

食物繊維をたくさん摂ると良い腸内細菌が増える

腸内細菌が肥満や糖尿病、脳卒中に関係していることが明らかになりつつあります。

その腸内細菌を増やすにはやはり食物繊維を多く摂ること。

意識して食物繊維を摂って、生活習慣病を予防したいものです。

 

Dietary Fiber-induced improvement in glucose metabolism is associated with increased abundance of Prevotella

 

食物繊維を摂ることでブドウ糖代謝が改善されることは、腸内細菌プレボテラ(Prevotella)が増えることによって起きる

 

Petia Kovatcheva-Datchary Gothenburg大学.スウェーデン
Cell Metabolism .22.971-982 December 1.2015

 

始めに
腸内細菌が肥満、2型糖尿病、脳卒中に関係している証拠が増えています。ヒトの場合、腸内細菌は食事によって大きく変わります。脂肪とたんぱく質を多く摂るとバクテロイデスの仲間が増え、食物繊維を多く摂るとプレボテラ(Prevotella)が増えます。
私たちは、以前の研究で大麦ベースの夜の食事(デンプンではない多糖類と難消化性デンプンを多く含んでいる)が、正常なBMI値の健康な人の耐糖能(血糖値を下げる能力)を改善することを示した。しかし、食事に対する反応には個人差が大きく、食事によって改善される人はその人が持っている腸内細菌の種類によっている。

 

今回の研究では、大麦中心のパンを3日間食べた後にブドウ糖代謝が改善した人たちとしなかった人たちの腸内細菌を比較した。

 

結果
ブドウ糖代謝が改善した人たちは、そうでない人たちに比べてプレボテラ/バクテロイデスの割合が高かった。その中でもPrevotella copri株が多く、複雑な多糖類を分解する能力が高まっていた。
次に、ブドウ糖代謝が良くなった人たちの腸内細菌を、腸内細菌を無くしたマウスに移殖したところ、マウスのブドウ糖代謝が改善し、プレボテラが増加し、肝臓中のグリコーゲン量が増加した。

 

解説
デンプンを食べると血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が上昇し、ホルモンのインスリンが分泌され、筋肉や肝臓など全身の細胞に取り込まれ、エネルギー源となったり、肝臓ではグリコーゲン(ブドウ糖から作られる)として貯められ血糖値は下がります。この能力のことを耐糖能といい、血糖値が上がりすぎないよう、またインスリンが出過ぎないようコントロールされています。が、高血糖が続きすぎると、このコントロールはうまくいかなくなり、高インスリン血症、糖尿病へつながっていきます。今までは、食物繊維の役割は血糖を急激に上昇させないためと考えられていました(グリセミックインデックス)。しかし、食物繊維を多く摂り続けることで、腸内細菌の内のプレボテラ・コプリ株が増えることが重要なことが示唆されました。
他の論文では、インスリン濃度が上がることそのものが、発ガンを増加させる可能性も示されており、糖尿病のみならず、発ガンにも食物繊維が効果がある可能性が高くなってきています。
 

腸内細菌についての最新情報(2017)

 

 

「腸内細菌叢を豊かにすることが健康につながる」ということは

メディアでも取り上げられて多くの人が耳にしていることだと思いますが

もう少し進んで

「腸内細菌叢が変化するとガンを促進する」

「腸内細菌を減らすものは何か」

「腸内細菌叢を豊かにするものは何か」

ということも理解できると、より生活に役立つのではないでしょうか?

 

Nurses’ Health Study (ハーバード大学の疫学研究)とジョージア州立大学の研究からご紹介します。

 

.抗生物質を使用すると腸内細菌叢(そう)が変化し大腸がんになる可能性がある

prolonged autibiotic use tied to precancerous growth

長期の(2週間)抗生物質使用が前ガン病変(ポリープ)につながる

 

抗生物質使用による腸内細菌そうの変化がポリープにつながり、大腸ガンになる可能性がある。

この研究はナースズヘルスステディー参加者16600人の60才以上女性を対象にしたものです。

20代か30代の時に2ヶ月間抗生物質を使用した女性は36%ポリープが多かった。

 

.食物繊維などをよく摂り腸内細菌叢が豊かだと、ガンに関与する菌のリスクを低くする

study tightens connection between intestinal micro organisms, diet, and colorectal cancer.

腸内細菌と食事、大腸がんの関係をよりはっきりさせる研究

 

腸内細菌の1種、Fusobacterium nucleatum(フソバクテリウム・ヌクレアタム口腔バクテリアでもあり、歯周病の原因菌)が大腸ガンに関与していると考えられている。

137000人を10年以上追跡して、1000件以上の大腸ガンと食事の関係を調べた。

全粒穀物と食物繊維に富む「かしこい」食事をしている人達は、この菌を持っている場合でも、大腸ガンのリスクは、この菌を持っていない人達と同じく低かった。

「この研究は1種類の菌についてのものですが、腸内細菌は食事に反応して、ある種の大腸ガンのリスクを上げたり下げたりする」

 

.腸内細菌叢が変化することでガンが発生し、ガンの成長を促す

common food additive promotes colon cancer in mice.

ありふれた食品添加物がねずみの実験では大腸ガンを促進する

 

この研究はジョージア州立大学の研究者によるもので、同じ研究者の以前の研究で、食品添加物の乳化剤の摂取が腸内に低い炎症をもたらす事を示しました。今回の研究で、食事中の乳化剤がガンの成長を悪化させる事を示しました。

今回の研究で乳化剤のポリソルベート80とカルボキシメチルセルロースを人が実際に摂取している濃度でねずみに投与したものです。

ねずみの腸内細菌の種類が投与によって劇的に変化した。その変化が炎症を生じ、ガンの発生と成長に好環境を作り出した。

乳化剤の摂取→バクテリアの種類が変わる→ベン毛とリポ多糖を持っているバクテリアが増える→免疫系による炎症反応を増加させる

 



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