環境・環境汚染について知ろう

男性不妊は先天的だけでなく後天的な原因も大きかった!!

 

不妊治療の補助制度ができるほど、現代は不妊が増えています。

男性不妊の多くの原因である精子減少症が先天的異常ではなく後天的原因で多く起こっているという論文が発表されました。

人は受精する時に精子・卵子共に特定の遺伝子に印をつけて受精し、それぞれの遺伝子を受け継いでいくことがわかっています。人体の神秘ですね。

この印をつけること(専門用語でメチル化といいます)が

  • タバコ
  • 炭酸飲料
  • 環境汚染物質(PCB)
  • 都会に住むこと

などが原因で上手くいかなくなり、不妊や受精後の子どもの発達にも影響があることをこの論文で示しています。

 

この論文の重大なことは、遺伝子が先天的や毒物によって突然変異しなくても、後天的な原因で男性不妊を起こすことがわかったことです。

未来の子供たちのためにも、できる範囲で、原因を避けることは今すぐにでもできそうです。

 

 

Factors associated woth aberrant imprint methylation and oligozoospermia.

精子減少と異常インプリントメチル化(遺伝子DNAが後天的にメチル化される事)を起こす要因

 

Norio Kobayashi 東北大学医学部

Scientific Reports 10.February. 2017

 

男性不妊が原因の不妊が半分あり、日本も含め先進国で増えている。精子減少症は精液中の精子濃度が低い事が特徴だが、男性不妊の多くの原因です。精子減少症を起こす遺伝変異は今までのところ少ししか同定されていない。精子形成の異常は後天的な遺伝子DNAのメチル化とヒストン(遺伝子にくっついているタンパク)修飾の異常によっていることが示唆されている。

私達及び他の研究グループは異常な精子形成は、異常なDNAのメチル化によって起こっていること、とくに精子減少症の男性がそうであることを示してきた。

ヒトでは100個以上の遺伝子がゲノムインプリンティング(精子や卵子ができる時に特定の遺伝子にメチル化が起きる事)され、これらの多くの遺伝子は初期発生に重要な役割を担う。正しくメチル化が出来なかったり、それを維持できなかったりすると、子供の発達がおかしくなったり、産まれてからも代謝や行動の異常になる。

 


 

 

 

これらを抑える方法として

 ・運動  ・農村、漁村に住むこと

 

解説

私達ヒトは父親からと母親からの2つの遺伝子を持っています。しかし、特定の遺伝子は、父親からの遺伝子しか働かない。母親からの遺伝子しか働かないといった、ゲノムプリンティングという働き方をしています。精子形成や卵子形成のときに特定の遺伝子をメチル化することでどちら由来であるか、印をつけているのです。今、この論文で明らかにされていることは、男性不妊の多くの原因である精子減少症では、このメチル化が異常になっており、それによって精子の異常、受精後の発生の異常が起こっているということです。この原因には、タバコ、炭酸飲料、都会に住むこと、PCB(環境汚染物質)などが分かっています。

この研究の重大なことは、毒物というと遺伝子DNAを突然変異させるものという点ばかりを意識してきたことです。

遺伝子DNAが突然変異しなくても、メチル化などに影響する因子があれば、重大な影響を与える事になります。今回の論文で言えば、炭酸飲料がその様な因子になります。炭酸が悪いのか、砂糖なのか、人工甘味料なのか、といった詳しいことは分かっていません。

伊澤

環境悪化と化学物質が野生生物に与える影響

論文で紹介します

野生生物が環境悪化
Environ Toxicol Cltem ,2004


今回はアメリカのなまずのガンの論文を紹介します。


ワシントンD.Cにあるアナコスティア川(きたない川)と、メリーランド州にあツカホエ川(きれいな川)のなまずの肝ゾウガン、皮フガンが調べられました。
 

肝ガン 皮フガン
アナコスティアのなまず 3年物 50-68% 13-23%
アナコスティアのなまず 1-2年物 10-17% 0
ツカホエ川のなまず   3年物 0-3% 0
ツカホエ川のなまず   1-2年物 0 0


という驚くべき発ガンが明らかになりました。


それぞれのDNA(遺伝子)を調べた所、アナコスティアの方がツカホエに比べ16~28倍ものDNA添加物(DNAに余分な物がくっついている→突然変異ガンの原因)がありました。

又、けい光物質(合成洗剤に入っている)の様な、化合物がたくさん見られました。


Environ Toxicol Cltem ,2004, から

私達は、川や海や田んぼが汚れ、生き物が少なくなってしまっている状況になれっこになってしまっています。

生き物からの声なきけいこくに耳をすませ、想像力を働かせましょう。

化学物質と人類はよほど抑制が働かせないとこのままでは大変なことになってしまう気がします。

無関心、慣れが、恐ろしい。

(2004/1/1 掲載)

はまぐりを使った水道水の環境汚染物質の実験

A mixture of environmental contaminants increases cAMP-dependent Protein Kinase in Spisula embryos.
Spisula(はまぐり)の胚のサイクリックAMP依存プロテインキナーゼを上昇させる環境汚染物質
Carol L. Reinish 海洋生物研究所
Environmental toxicology and pharmacology 2004


アメリカ環境保護庁(EPA)は、ブリック(ニュージャージー州)のごみ埋立地を「スーパー ファンド サイト」として、1983年9月8日登録した。

ブリックは、この決定を町の水道水の高い汚染と、この町での自閉症の子供が他に比べて割合が高いことで受け入れた。(アメリカ国内の平均の2倍)

ブリックの水道水を、1999年1月に採水して調べたところ、神経毒性があるプロモホルム、クロロホルム、テトラクロロエチレン(他にもあるが)が見つかった。

これらの神経毒性は大人では知られていないが、胚の神経発達への影響は調べられていません。

テトラクロロエチレンは、ドライクリーニングで一般に使われている溶剤です。

高レベルのテトラクロロエチレンにさらされた労働者は、神経毒性を示します。神経毒性は、行動異常、記憶、神経機能など広い部分に及びます。

ラットでの、詳細な研究は、高濃度のテトラクロロエチレンは、全般に及び、神経系の抑制をもたらします。

また、低量でさえ、発生に微妙な不可逆的な変化を胚の神経系にもたらします。


解説

今回の実験は、はまぐりの胚を使って、ブロモホルム、クロロホルム、テトラクロロエチレン、この3つの汚染物質(ブリックの水道水を汚染していた)の影響を調べました。

ばくろ露は、サイクリックAMP依存プロテインキナーゼの調節サブユニット(R11)の上昇をもたらしました。

このR11の上昇は、繊毛の活動の増加につながっていました。

これらの影響は、3つの物質が同時にある場合のみ現れて、この中の2つ、もしくは単独では影響がありませんでした。

ブロモホルム、クロロホルム、テトラクロロエチレンの3種が相乗作用して、神経の発生に影響を与える、初めての報告です。

(2006/9/19 掲載)

生活排水から琵琶湖へ流れ込む微量化学物質

『生活排水から琵琶湖へ流れ込む微量化学物質』―蛍光増白剤の研究報告―
早川和秀・山路修久(1)・高田秀重(1)・山元博貴(2)・藤原学(2)
(2)龍谷大学理工学部?(1)東京農工大学農学部 琵琶湖研究所所報


これは、生活排水として琵琶湖へ流れ込む蛍光増白剤の分布や濃度について検討した研究報告です。


蛍光増白剤とは、紫外線を吸収して青紫色光線を発する化学物質であり、製品を白く鮮やかに見せる染料として、衣料用合成洗剤や衣類や紙やプラスチックなどに添加されています。また、皮膚刺激やアレルギー反応を引き起こす化学合成物質とされ、原料であるスチルベンには内分泌攪乱作用があります。蛍光増白剤は下水処理場において完全に除去できず、河川から検出される特徴から、蛍光増白剤が生活排水に含まれる難分解性化学物質の指標と成り得ることが注目されています。著者らは国内で主に使用されている蛍光増白剤の内、DSBPとDAS1の河川水中および湖水中の濃度や分布について検討しています。


まず、野洲川流域(本流および各支流の計15ヵ所)から採水し、調査したところ、本流に比べ支流の方がDSBPおよびDAS1の濃度が高いことがわかりました。このことから河川水中の蛍光増白剤の濃度は河川水量による希釈効果と流域の未処理生活排水量に依存すると考えられました。


次に、琵琶湖の北側と南側で採水し、DSBPとDAS1の濃度を調査し比較したところ、北湖に比べ南湖の方が数倍濃度が高いことがわかりました。これは、都市河川、下水処理排水が集中する点で南湖の蛍光増白剤濃度が高くなると考えられました。


最後に、湖底堆積物中の蛍光増白剤の分布について調査したところ、蛍光増白剤濃度は堆積表層に向かって顕著に増加していたことから、琵琶湖では蛍光増白剤の負荷量が年々増加傾向にあると考えられました。


今回検出された蛍光増白剤の濃度は非常に低く、毒性に関して危険性はほとんどないと判断されたが、低濃度ながら湖底まで到達していることが明らかになりました。これは蛍光増白剤だけでなく生活排水に含まれる難分解性の人工化学物質が琵琶湖に拡散している可能性を示しています。

(2007/5/10 掲載)

グリコールエーテル類 たくさん使われている毒性化学物質

論文で紹介します

Glycol ethers ? a ubiguitous family of toxic chemicals
グリコールエーテル類 たくさん使われている毒性化学物質
Andre Cicolella 危険性と産業環境 国立研究所? フランス (national institute of risks and industrial environment)
Ann.N.Y.Acad,Sci. 1076:784-789 2006


グリコールエーテル類は、1930年代以来、ペイント、インキなどの溶剤、クリーニングに、化粧品、薬に使われてきた化学物質です。

世界中での生産量は、約100万トン、動物実験の最初のデーターは、1971年と1979年で、ある種のグリコールエーテルの重い生殖毒性を示していた。1982年と1983年にそれぞれ2つの警告がアメリカで出されたのですが、実際に一部の規制がEUで始まったのは、1993年になってからでした。これらの物質は、多くの人々を曝露させているのですが、基本的な毒性データー、特に発ガン性に関しては、ほとんど無い(32種類の内、3種類だけ)。実験データーは、1980年代初めには、発生毒性を示す充分なデーターが存在しました。


最初の禁止は、1999年にフランスで薬と化粧品で行われた。1980年代後半には、動物実験と同様にヒトでも、流産、異形成、精巣毒性、血液毒性、などがわかった。一致している毒性のデーターや代替物があるにもかかわらず、生殖毒性のあるグリコールエーテル類はいまだに広く世界中で使われているのです。クリコールエーテル類の例は、リスクアセスメントの現在のシステムの欠陥を示しています。EUのリーチ規制(化学物質の規制)が「No deta. no market… データーのない化学物質にはマーケットが無い…安全データーの無い化学物質は使わせない」という原則に基づくべきだと嘆願する。

(2007/6/18 掲載)

化学肥料による重金属汚染

論文で紹介します

Arsenic , Cadmium , and Lead in California Cropland Soils:: Role of Phosphate and . Micronutrient Fertilizers
ヒ素、カドミウム、鉛がカルフォルニアの作土中に含まれている量: リン酸肥料、微量要素肥料の関与
Weiping . Chen カルフォルニア大学リバーサイド校
J Environ Qual . 2008 Mar-Apr : 37(2) : 689-95


リン酸肥料、鉄-マンガン-亜鉛などを含む微量要素肥料が収量を上げるために、定期的に散布されています。しかし、これらの肥料にはヒ素、カドミウム、鉛などが含まれています。カルフォルニア州食品農業部(CDFA)によると、カルフォルニア州で販売されているこれらのリン酸肥料と微量要素肥料にはヒ素が0〜85mg/kgの範囲でカドミウムが0〜5g/kg、鉛が0〜73.5g/kgの範囲で含まれています。一回の散布では、濃度の上昇などは検出できませんが、繰り返し散布することで時とともに、徐々にこれらのヒ素、カドミウム、鉛などが上昇していきます。研究者達は、リン酸肥料の散布がとくにカドミウム濃度の上昇を起こしてしまっていることを実証してきました。野菜の栽培は他の作物に比べかなり多量の肥料を必要としているので、野菜の畑には肥料に由来するこれらの重金属の蓄積という最悪の結果が考えられます。例えば、カルフォルニア州インペリアルバレーでは、野菜の生産では1ヘクタール当り563kgのリン酸アンモニウムを使っています。

土壌に重金属が増えると、食物連鎖を通して重金属の濃縮が起こることがあります。土壌中の濃度に比例して、植物体中の重金属濃度の増加が報告されています。ヒ素、カドミウム、鉛が作土中に増加する事から生じる危険性は健康に対する懸念をもたらしています。本研究の目的は、1967年にブラッドフォードが採取したカリフォルニア州50ヶ所の土壌(ベンチマーク土壌…基準土壌)を2001年に再採取し、それらの重金属量の測定をすることと、カリフォルニア州の野菜生産7地域の作土での重金属の分析と、カリフォルニア州での作土中のヒ素、カドミウム、鉛の増加へのリン酸肥料と微量要素肥料の関係を明らかにする事です。


結果

野菜生産7地域から1000以上の作土のサンプルを分析したところ、 重金属濃度が上昇していました。

リン酸の増加はリン酸肥料との、亜鉛の増加は微量要素肥料との関係が強いことがわかりました。

7地域の内1地域で

ヒ素、カドミウム、鉛が増加しており、リン酸と亜鉛の増加と関係していた (リン酸肥料、微量要素肥料、両方の関与)

7地域の内2地域で

ヒ素が増加しており、亜鉛が関係していた (微量要素肥料の関与?)

7地域の内残り4地域で

ヒ素、カドミウム、鉛の増加とリン酸、亜鉛との関係が見られない


 

表,カリフォルニア州50ヵ所の土壌成分の比較
1967年基準土壌 2001年基準土壌 2001年作土
平均値 最高値 平均値 最高値 平均値 最高値
ヒ素 8.8 20.5 7.6 16.6 7.6 18.4
カドミウム 0.18 0.44 0.22 0.53 0.50 2.38
12.0 25.0 14.6 26.8 15.6 62.2
リン酸 520 1127 616 1503 844 2620
亜鉛 69.2 143 75.9 124 68 145
※カドミウムが劇的に多いことがわかります。


解説

会社の田んぼに肥料と土壌改良材を入れようと調べていたらケイ酸の土壌改良材やリン酸肥料は製鉄会社が鉄を作るときに廃棄する資材から作っている場合が多いことがわかりました。食品安全委員会のホームページなどで資料をとると、それらの肥料や改良材中に高濃度の重金属(ヒ素、カドミウム、鉛、チタン、ホウ素)などが含まれていること、健康に対する影響はまずないと書かれていました。どうも信用できないので各国の論文を見たら、やっぱりいろんな論文がありました。この事情は日本だけのことではありませんが、関心を持っている科学者が日本に少ない事は確かです。

それにしても、農家は食い物にされていると、つくづく感じます。これらのこと以外にも肥料は知られていないだけで問題の多い所です。下水汚泥肥料なども知らないうちに使っているのです。不純物の量の表示や原材料の表示がない事が一番の問題です。名古屋生活クラブに出荷している農家の多くは少数の例外を除いて、肥料の出所がはっきりしています。今後は、この少数の農家のチェック、及び肥料の切り替えを進めて行きたいと考えています。

(2008/9/9 掲載)

ひじきの砒素について

名古屋生活クラブの考え

ひじきの砒素について


ひじきの砒素汚染の報道を受けて、少し調べてみました。

砒素は火山活動、鉱物採掘などにより,土壌、地下水が汚染されています。

汚染と書きましたが、砒素は地域的な高低はあるものの、どこにでもある元素で、火山活動、鉱物採掘などの盛んな地域で、とくに濃度が高く(100倍〜)(インド、中国、バングラデシュ、台湾など)健康被害が問題になっています。海の生き物に濃縮されている事が多く、その中でもひじきなどに顕著です。

それ以外の汚染源としては農薬として木材の防腐剤として大量に使われてきました。

みかんの酸味を減らす農薬として(今は失効)累積生産量3万2700トン、木材の防腐剤としても最近は使用量が減ってきていますが、アメリカ国内では80%もの材木が処理されており、日本でも過去の大量使用していた材木の焼却などで、環境に大量放出される心配があります。

ひ砒素の毒性としては発ガン性などがかなり疑われています。

(職業病としてのひ砒素の発ガン性ははっきりしています)

ひじきに関しては水戻しでかなりのひ砒素が水に溶け出しますので、よく水にさらし、食べ過ぎないよう注意しましょう。

 

参考(表 各種食品中の総ヒ素及び無機ヒ素含有量の例(抜粋))

食品 総ヒ素(μg/g) 無機ヒ素(μg/g)
穀類 米3) 0.01〜0.76 0.01〜0.51
とうもろこし <0.004 <0.003
小麦粉 0.04 0.01
肉類 牛肉 0.05 <0.003
鶏肉 0.09 <0.003
豚肉 0.01 <0.003
野菜 レタス <0.004 <0.003
たまねぎ 0.01 0.003
トマト 0.01 <0.003
にんじん 0.007 0.004
ジャガイモ <0.004 <0.003
果物 リンゴ 0.005 <0.003
バナナ <0.004 <0.003
オレンジジュース 0.005 <0.003
ぶどう 0.01 0.004
魚介類 ツナ缶 0.16〜0.77 <0.003
えび 0.47〜2.82 <0.003
海藻 こんぶ 19〜75 <0.3
のり 18〜32 <0.3
わかめ 29〜42 <0.3
ひじき 95〜134 72〜96
0.02 <0.003
その他 砂糖 0.01〜0.02 0.004
0.005 <0.003

注:海藻は、乾燥したもの
参考:Japan Food Research Laboratories Newa No.82 Dec. 2008

JECFAの無機ヒ素の暫定的耐容週間摂取量は、15μg/1kg(体重)/週。体重60kgの人なら、週に900μg(ひじきなら10g。ただし、水に戻す時に、かなり減る)。

発がん性のリスクは、もう少し低濃度でも有りそう。


ついでに森永ひ砒素ミルク事件について

粉ミルクを水に溶けやすくするため添加していた、リン酸ナトリウムに亜ヒ酸が大量に混入していた事件です。

このリン酸ナトリウムは、日本軽金属がボーキサイトからアルミニウムを取り出した後の産廃を脱色だけしか行わず、粉ミルクに使ったために亜ヒ酸が混入していたものです。

(伊澤)

(2012/07/19 掲載)

大気汚染による肺ガンのリスク

肺ガンについて
Carcinogenesis Advance Access


大気汚染が肺ガンの危険性を高めています。大気汚染が、遺伝子DNA付加物(化学物質がDNAに化合すること…突然変異の先駆け)を増やします。大気汚染物質が遺伝毒性を示すことは、はっきりしています。

肺ガンは、連続的な変化を起こして進行します。例えば、遺伝子の変異、遺伝子のプロモーター(スイッチ)の異常なメチル化(メチル化によって、スイッチが働かなくなる)などです。

大気汚染の指標、二酸化窒素の濃度が、1立方メーターあたり10μgの増加につき、肺ガンの危険性は、1.1倍増えます。

TP53(ガン抑制遺伝子)を調べてみると、タバコを吸う人は、吸わない人に比べ、より多く変異しており、1日に吸う本数に比例しています。そしてそれらの変異は、前ガン状態の部分にも、一見健全に見える部分にも、変異が見られます。

中国で、非喫煙者の肺ガン患者を調べたところ、TP53(ガン抑制遺伝子)が71%もの高率で突然変異を生じていました。これは、石炭の燃焼による汚染の結果と考えられています。(中国では、石炭を暖房に使っている。)

TP53とは異なる別の、ガン抑制遺伝子のプロモーター(スイッチ)の異常なメチル化も、肺ガン患者に高率(20〜100%)に見られます。その様な遺伝子として、P16という遺伝子があります。このP16遺伝子は、細胞周期(細胞分裂)を進むのを抑える遺伝子です。肺がんの患者ではこの遺伝子(P16)のプロモーター(スイッチ)がメチル化されて(遺伝子産物が作られない)おり、細胞分裂を止められなくなります。その変異が20〜65%もの高率で見られます。このP16遺伝子のメチル化は、喫煙とともに進みます。喫煙をやめたら減る、というものでもありません。

肺ガンが増えています。タバコの影響もありますが、大気汚染の影響はそれ以上です。それらは着実にDNAのいろいろな部分に変異をもたらし、多くの変異が蓄積していきます。それらの変異が、ガン抑制遺伝子など重要な遺伝子に起き、引き続いて別の重要な遺伝子にも変異が起きているという、変異の蓄積によって、肺ガンが起こることが、DNAを調べることで分かってきました。

大気汚染の防止、ディーゼル車の廃止などが求められています。
 

(2012/7/19 掲載)

水道水中のトリハロメタンが呼吸に及ぼす影響

論文で紹介します

Changes in breath trihalomethane levels resulting from household water-use activities.
水道水を使う家の中の活動が呼吸中のトリハロメタンに及ぼす影響
Syolney M Gordon Battelle Memorial 研究所 アメリカ
Environmental Health Perspectives 114 4 2006


水道水の塩素処理により、クロロホルムなどのトリハロメタン類が生成する数多くの研究が飲み水のトリハロメタン量と、膀胱ガン、直腸ガン、奇形などとの関連を見つけています。

同様に、シャワー、お風呂、洗濯、皿洗いなども、トリハロメタン曝露に関係しています。バッカーらは、飲み水、シャワー、お風呂の活動の前後で血中のトリハロメタン濃度が上昇しましたが、1Lの飲み水では、わずかな上昇にとどまりました。


結果

シャワー(10分)、お風呂(14分)、洗濯、食器洗いの使用が室内のクロロホルムの空気中濃度を上昇させたが、その中でシャワーとお風呂のみが呼気中の濃度を上昇させた。

呼気中のクロロホルム濃度 室内のクロロホルム濃度
最初 0.04 ほとんど0
10分シャワー後 0.19 2.28
14分お風呂後 0.68 0.25


解説

水道水の塩素消毒によって生じるトリハロメタン類(クロロホルムなど)が発ガン性を持っているため、各家庭でも浄水器などを使う場合が増えています。今回の論文では、飲み水よりもお風呂、シャワーなどで体内に入るトリハロメタンの方が多い可能性が示唆されました。シャワーに浄水器をつけるか、換気を充分に行う必要を感じさせます。

(伊澤)

(2012/07/19 掲載)

内分泌かく乱物質の後天的な、世代を越える作用

論文で紹介します

Seminiferous cord formation and germ-cell programming Epigenetic transgenerational actions of endocrine disruptors
輸精索の形成と、配偶子細胞のプログラミング 内分泌かく乱物質のエピジェネティック(後天的)な、世代を越える作用
Matthew D. Anway ワシントン州立大学 アメリカ
Ann N.Y. Acad. Sci. 1061.18-32 (2005)


ここ10年で、放射線、化学物質、内分泌かく乱物質のような環境毒物による、世代を越えて(trangenerational)の影響が報告されている。

放射線による、世代を越える影響は、最初に認められ、その中のいくつかは生殖系列を通して何代にも伝わっていったことが示された。これらは、次の世代での突然変異と、ガンの形成にも、しばしばつながった。

内分泌かく乱物質のような、環境毒物も、親の世代での曝露につづき、子供(F1)に影響することが示されてきた。

始源生殖細胞(PGCs)のDNAのメチル化状態の最近の研究では、PGCsが生殖堤に下降するにつれ、脱メチル化が始まる。

生殖腺で性の決定期の間に、生殖細胞は、生殖細胞の性の決定に関わる再メチル化を行う。

内分泌かく乱物質、ビンクロゾリン(ワイン栽培に使われる殺菌剤)、メトキシクロル(農薬)は、精巣の形態形成を、生殖細胞が再メチル化を行う時と同時に変える。

生殖腺の性決定時の内分泌かく乱物質の一時的な曝露は、大人の精巣での、精子形成細胞のアポトーシス(死)の上昇と、精子濃度の減少につながる。そして、その影響が4世代先まで続いていく。この、世代を越えての影響は、DNAのメチル化の変化によっている。

F2世代の内分泌かく乱処理の子孫のオスと未処理のメスとの戻し交配での、子供(F3)では、精子の運動性の低下、精子形成細胞のアポトーシス(死)の増加、が同様に起きたが、逆の交配(処理のメス×未処理のオス)では、起きなかった。
 

(2012/07/20 掲載)



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