食品のリスクについて知ろう

アクリルアミド

2016年4月5日の第601回食品安全委員会で、「加熱時に生じるアクリルアミド」の評価がまとめられましたので、改めてまとめます。
 
アクリルアミドの毒性
発がん性、神経毒性、雄の生殖毒性等。発がん性は、遺伝毒性なので、閾値を設定できない。代謝産物のグリシドアミドにも同様の毒性が見られる。
各国で、BMDL10(10%リスクが上がる摂取量)は、0.2〜0.3 mg/kg 体重/日程度と評価されています。
 
発生源
アスパラギンと、還元糖が高温で反応して出来る。
アスパラギンは、たんぱく質を構成する20種類のアミノ酸の一つです。還元糖というのは、ブドウ糖、果糖などですが、デンプンなど多糖類やショ糖(砂糖の成分)もそれ自体は還元糖では有りませんが、分解すると還元糖ができます。たんぱく質と炭水化物がある食品を高温で調理するとできるので、ほぼ全ての食品という事になりますが、特にアスパラギンを多く含む食品を焦がした時にできやすい。
 
どれくらい摂取している?
平均的な日本人で、実験動物から求めたBMDL10の約1/1000 (リスクが10%上がる量の1/1000)
たいした事無いように見えますが、アクリルアミドの発がん性は閾値が無い事、あくまでも実験動物での毒性を元にした評価だという事を考えると、無視できる量ではありません。食品安全委員会でも、「公衆衛生上の観点から懸念がないとは言えない」という結論です。
 
どんな食品から多く摂取している?
評価書<別添 1>から、一部抜粋
食品 中央値(真ん中の人)
(ng/kg-bw/day)
多く食べる人(上から95%
(ng/kg-bw/day)
平均値(合計÷人数)
(ng/kg-bw/day)
コーヒー* 22 58 27
ジャガイモ(下炒め、素揚げ、炒め)* 11 53 17
もやし(素揚げ、炒め) 4.9 28 8.5
たまねぎ(下炒め、素揚げ、炒め)* 8.0 55 16
成形ポテトスナック 4.8 25 7.9
小麦系菓子類 4.5 37 10
ポテトチップス 3.7 55 14
合計 154 261 166

* 元のデータでは分割されていたものを、合計した。
平均的な日本人の食生活では、コーヒー、炒めたり揚げた野菜、スナック菓子からの摂取が多くなっています。

IARC(国際がん研究機関)が赤身肉、加工肉の発がん性を認定した件について

20151026日に、WHO傘下のIARCが、加工肉の発がん性をクループ1(発がん性がある)、赤身肉をグループ2A(恐らく発がん性がある)と評価しました。この発表は、最近新しい研究結果が出てきてわかった事ではなく、 今までに公表された800以上の研究結果を、IARCが総合的に評価して、グループの設定を公表したという事です。
名古屋生活クラブでも、今までにも会員交流会などで、「これらの肉の発がん性は間違いないが、有用性もあるので、食べ過ぎないように適度に食べて欲しい」とお伝えしてきた事なので、IARCの発表に対して、特に驚きはありませんでしたが、会員様や世間での反応が予想以上に大きいので、見解を公表します。
 
赤身肉とは?
日本での赤身、脂身といった区別ではありません。牛、豚、羊、馬、山羊の肉といった、哺乳類の肉を指します。
 
加工肉とは?
塩漬け、発酵、燻煙などの処理をされた肉。
 
どれくらいの発がん性があるのか?
赤身肉、加工肉共に、大腸がんが増えます。IARCで、10種類の研究を総合的に分析したところ、1日に付き50gの加工肉を食べると、大腸がんのリスクが18%増加していました。赤身肉の場合、1日100gで17%の増加です。世界全体で、毎年34,000人が加工肉が原因で癌で死亡、50,000が赤身肉が原因で癌で死亡している事になります。
 
肉は食べない方が良いか?どれくらい食べたら良いか?
確かに赤身肉、加工肉には発がん性があると考えられますが、肉には健康への良い影響もあります。10月初めの、オーストラリアがん評議会(Cancer Council Australia)の発表でも、発がん性を認める一方で、赤身肉を週に3〜4回、1回あたり65〜100グラム食べることを推奨しています。オーストラリアと日本では、食文化が違うので、もう少し少なくても良いかもしれませんが、完全にやめるのではなく食べ過ぎないようにする事が大切だと思います。
 
発がん性の原因は何か?
赤身肉、加工肉の発がん性は、一つの物質が原因ではなく、ヘム鉄、ニトロソ化合物(ニトロソアミンなど)、ポリサイクリック芳香族炭化水素、加熱によって発生するヘテロサイクリックアミン、燻製のベンゾピレンなど様々なものが含まれています(IARCの発表)。また、腸内細菌のバランスによって、大腸がんのリスクが変化する事が知られていますが、食事によって、腸内細菌のバランスが崩れ、大腸がんが増えている可能性もあります(PMID: 25919227など)。これらの内、何が一番大きく影響しているのかは、まだ良くわかっていませんが、発色剤(ニトロソアミンを発生させる亜硝酸塩)を使っていないハムやソーセージを選んだり、肉を焼きすぎて焦がさないなど、避けられるリスクは避ける事が重要です。
 
まとめ
名古屋生活クラブとしては、今までと同様に、
  • 肉は食べ過ぎない方が望ましいが、完全に排除する必要は無い
  • 亜硝酸塩(発色剤)を使用したハム、ソーセージは避ける
  • 過度の加熱は避ける(加熱不足による食中毒には注意)
  • 燻製は、ベンゾピレンを低減させたものを選ぶ
という事が重要だと考えています。
 

アクリルアミド 海外の状況

穀物(じゃがいもを含む)を加熱するといろいろな不純物が生じる。その中に、アクリルアミド発がん性2A(IARC国際ガン研究機関)1994. フラン発がん性2B(IARC国際ガン研究機関)1995.などがある。
ヨーロッパ共同体は、2011年に食品中のアクリルアミド量の指針値ともいうべき、インディケーティブ値を公表し、2013年にはその値をさらに下げた。この値は安全な閾(いき)値ではないが、この値を越しているメーカーに低減に向けての研究の必要性を示す値になっている。ヨーロッパ共同体はアクリルアミド量の市場調査の結果に基づいて、各メーカーが実行できる数値に設定した。アメリカ国内ではFDA(食品医薬品局)がアクションプランの制定に動いたが、現在は止まっている。しかし、2005年カリフォルニア州法務長官がアクリルアミドを含む製品に警告表示をしなかった4つの食品会社を提訴した。(カリフォルニア州はガン、奇型、生殖毒性を起す物質を含む製品に警告表示をさせるプロポジション65という法律がある。)提訴は2008年に解決した。それは製品中のアクリルアミド量を275ppb以下にすることと、300万ドルの罰金を支払うことだった。この275ppbという数値で安全かどうかの証拠はないが、長い交渉でメーカーと州が達成可能だとして合意した数値です。

解説
プロポジション65について 1986年カリフォルニア州民の投票で制立。ガン、奇型、生殖毒性をおこす物質を指定することを州に義務化。1年に少なくとも1回ずつ改訂され、現在800種以上の物質が指定されている。メーカーなど産業界に表示を義務づけている。2014年の新しい指定でアトラジシ、プロパジン、シマジンの3除草剤が発生毒性、生殖毒性で指定。エチレングリコールも発生毒性で指定されています。論文中に出てきた提訴はマクドナルド、バーガーキング、ケンタッキーフライドチキン、フリトレイ、ケトルフード、ランス、P&G、ハインツの各社のポテトチップやフレンチフライが高濃度のアクリルアミドを含んでいるというものでした。ケンタッキー、マクドナルド、ウェンディー、バーガーキングは警告表示をすることと、罰金を支払うことに合意した。P&Gはプリングルスポテトチップ中のアクリルアミド量を50%削減(それにより警告表示は不要となった)に合意した。
(2014/12/15 執筆)

ゲニステインを産まれてすぐのねずみに投与すると子宮腺ガンが生じる

論文で紹介します

Uterine adenocarcinoma in mice treated neonatally with genistein
ゲニステイン(大豆イソフラボン)を産まれてすぐのねずみに投与すると、子宮腺ガンが生じる
Retha.R Newbold 国立環境健康科学研究所 アメリカ
Cancer Research 61. 2001


発生の臨界期(感受性が特別に高い時期)のエストロゲン(女性ホルモン)曝露が長い期間の後に影響を生じることが、私達の研究が示してきた。特に、DES(ジエチルスチルベストロール)、合成エストロゲン、流産防止薬として使われた)は、構造異常(奇形)、不妊、新形成(良性と悪性の腫瘍)などの生殖毒性を示す。

さらに、ねずみの子供に2mg/日(1000/圈親に相当)にDESを産まれてすぐ1日〜5日に投与すると、18ヶ月齢になった時、子宮ガンが90〜95%生じる。

天然のエストロゲン、ゲニステインは、多くの大豆製品に入っている。

大豆がベースになっている乳児用工業製品によって、又、子供向けの大豆製品によって、人類は、高濃度のゲニステインを摂取している。

それらの製品中のゲニステインと他のイソフラボンの濃度は、大人の食事中の濃度をはるかに越している。

大豆がベースの工業製品を食べている幼児は、1日に20〜40mg/日(4〜6/圈親)のイソフラボンを取っていることになります。(ゲニステインはその中で65%以上)それに対し、大人は中度から高度に大豆をとっている人でも、1/圈唇焚爾任后

初期の研究は、若い頃のゲニステイン摂取の利点(乳ガン予防、コレステロール合成率の改善)を示唆していました。

しかし、ゲニステインと、別のクメストロールの長期後の有害な影響を示す研究が増加しています。

最近の1つの論文は、ラットの産まれる前のゲニステイン曝露の乳ガンの増加、もう一つは、インシュリン依存性糖尿病との関連などです。さらに、ベジタリアンの母親の男の子供に尿道下裂の増加を目立たせている論文もあります。


今回の実験は、

メスのCD-1マウスが産まれて1日〜5日の間、DESを0.001/圈親、ゲニステインを50/圈親投与し、18ヶ月で観察した。

子宮腺ガン
ゲニステイン 35%
DES 31%

大豆がベースになっている乳児用の工業製品や子供向けの大豆製品は、よく調査されるべきだ。


解説

大豆に入っている植物エストロゲン(ゲニステイン クメストロールなど)の利点ばかり強調している多くの工業製品が販売されています。

今回、御報告する論文などに基づいて、厚労相が大豆イソフラボン製品の過剰摂取に関する注意を出しました。

植物エストロゲン(大豆イソフラボン)などを濃縮した工業製品は避けること、特に、乳児は避けるべき、と思います。

大豆を多く食べる東アジア諸国では、乳ガンが少ないなど、大豆の利点が健康上有益な事も又、大きな事実です。

これらの事を総合的に考えると、


・大豆、みそなどは心がけて食べる
・しかし、植物エストロゲンを濃縮している工業製品は食べない
・特に乳児には過度に大豆(製品)は食べさせない


事が、現在の状況です。

枝豆などは積極的にとりましょう。

ソフトドリンクとジュース消費とすい臓ガンのリスク

論文で紹介します

Soft drink and juice consumption and risk of pancreatic cancer the Singapore Chinese Health Study
ソフトドリンクとジュース消費とすい臓ガンのリスク  シンガポール中国人研究
Mueller NT ジョージタウン大学 アメリカ
Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2010 Feb ; 19(2) : 447-55


結果

60524人の中国系シンガポール人を14年間追跡し、140人がすい臓ガンになった。1週間に2杯以上のソフトドリンクを飲んでいる人が、すい臓ガンになるリスクは、飲まない人に比べ、補正後、1.87倍になった。(総計的に有意に)

ジュースの消費とすい臓ガンのリスクには、統計的に有意な関係は見られなかった。

1


名古屋生活クラブ

  〒452-0802 名古屋市西区比良2-120 フリーダイアル:0120-72-0251
TEL:052-501-0251 FAX:052-503-0967 e-mail: nsc@athena.ocn.ne.jp >>会社概要はコチラ