放射線について知ろう

人工的に作られた納豆菌は危険?

「市販の納豆は、遺伝子操作された納豆菌が使われているので、危険なんですか?」
 こんな質問を何度か受けました。こんな事を聞くと不安になると思います。実際は、どうでしょうか?完全に白黒つける事はできませんが、発酵に使う菌の改良(育種といいます)が、どのように行われているか理解して判断して下さい。納豆菌に限らず、多くの発酵食品でも同じ事です。

 

EUの乳幼児食品は一般栽培農産物では作れない?!

1997年に出した指針で、EUは乳幼児(3歳以下)向けの食品は残留農薬を0.01ppmにするように

規制しています。

この数値は、有機・農薬不使用の野菜を使わざるをえないほどの厳しい数値です。

 

ポイントは

「実際に子どもが農薬使用した野菜を食べ続けた結果の影響が分からない」

  ●成長や機能の遅れなどがでてくる心配

  ●精子の質の低下

  ●免疫系への影響  など

 

分からないからこそ、安全側にたって規制するべきだという姿勢です。

 

ひるがえって日本はというと、特に規制はありません

また、発がん物質が含まれる油「パーム油」が日本の粉ミルクの主成分になっていて

既に許容量の3〜4倍になっています。

 

この違いをもってなお、日本の食品は安全だといえるかどうか・・・

 

 

Opinion of the scientific committee for food on:

A maximum residue limit(MRL) of 0.01mg/kg for pesticides in foods intended for infants and young children .(1997919)

乳幼児向け(3歳以下)食品の残留農薬許容量(MRL)を0.01mg/kg(ppm)

設定する

Difference in susceptibility between infants, children,and adult

 

(農薬)に対する感受性が乳児、子どもと大人では違っている。

(大人では)毒性が現れない量でも、特別に感受性が高い時期に農薬を曝露すると、大人になってから現れてくる成長や機能の遅れなどが生じることが特に心配されている。特に、中枢神経系への毒性だが、それ以外にも内分泌系、生殖系(精子の質の低下)、免疫系にも現れる可能性がある。

ある種の農薬の曝露で、実験動物で遅延神経毒性が観察されているが、ヒトでその様な可能性があるか、結論を出せるようなデータはない。今までの普通の毒性研究では、特に感受性の高い時期の少ない曝露については適切に対象にされているわけではない。

 

解説

 パーム油の毒性を調べる過程で、乳児の粉ミルク摂取がすでに許容量の34倍になっていること、日本の粉ミルクの主成分がパーム油であること、海外では(特にヨーロッパ)では、オーガニックの粉ミルクがたくさん出回っていること、など日本との違いを再度、実感しています。このヨーロッパの文書は、乳幼児(3歳以下)向け離乳食の残留農薬基準値が最低ラインの0.01ppmに設定されているという公的な文書です。ここまで厳しく規制されているとは驚きました。理由も合理的なもので、特に感受性の強い乳幼児という対象を考えた毒性実験が多くない、というものです。

残留農薬以外にも

ローカストビーンガム、加工デンプン(ヒドロキシプロピル加工デンプン、リン酸架橋デンプン、アセチルリン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン)、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム などがあります。

伊澤

天然由来のトランス脂肪酸は安全?

1950年代に、フレッド・クメローが、トランス脂肪酸の危険性を訴えてから長い年月が経ち、アメリカでは部分水素添加した油がほぼ禁止になりました。ここで、「部分水素添加した油」とされているように、人工的に油に水素を添加して性質を変えたときにできるトランス脂肪酸が危険であり、天然のトランス脂肪酸はあまり問題にはなっていません。

 

オレオサイエンス 第14 巻第6 号(2014)に掲載されてた総説

「トランス脂肪酸問題と異性体 −工業型トランス脂肪酸と天然型トランス脂肪酸−」より

 

要点

  • 一言でトランス脂肪酸と言っても、いろいろなトランス脂肪酸がある。
  • 天然にもトランス脂肪酸は有る(牛などの脂に含まれるバクセン酸など)
  • いろいろな研究で差は有るが、概ね「人工的=悪い」「天然=悪くない」という傾向がある
  • 人工的に作ったトランス脂肪酸は、トランスになっている位置が広く分布している(いろんなタイプのトランス脂肪酸が混ざっている)が、天然は特定のタイプに集中している。
  • 人工的に作ったトランス脂肪酸に一番多く含まれる、9番目がトランスのタイプは、健康への影響が見られない(その他いろいろの中に悪者がいる?実は、何が悪いのか良くわかっていない)
  • 牛の脂などに含まれるバクセン酸は、健康への影響が見られない
  • 牛に濃厚飼料を多く食べさせると、バクセン酸(11番目がトランス)ではなく、トランスの位置が1つずれて、10番目がトランスのタイプが多くなる
  • ウサギの実験で、10番目がトランスのタイプを多く含むバター(濃厚飼料を多く食べて育った牛の乳から作ったバター)は、11番目がトランスのタイプが多いバター(草を多く食べて育った牛の乳から作ったバター)よりも血液中の悪玉コレステロール(VLDH、LDH)を増やす(動脈硬化、心臓疾患につながる)

 

解説

 ここに書いた事も、はっきりと結論の出ているものはほとんど有りません。トランス脂肪酸については、60年以上経った今でも、「良くわからないけど、人工的に部分水素添加した脂には、何か悪いものが含まれている」と言う程度です。しかし、「原因はわからないけど何か影響がある」という段階で対応する事が重要です。本当の原因を突き止めてから対応していては遅すぎます。

 そして、もう1つ目に止まったのは、天然のトランス脂肪酸でも、「濃厚飼料を多く食べさせた牛は悪影響がある」と言う事です。牛は、本来草を食べて育ちます。消化の悪い草から栄養を取るために、4つの胃でゆっくりと消化していきます。しかし、現代の酪農、畜産では、トウモロコシを多く食べさせます。消化の良いトウモロコシを食べさせた方が、早く大きくなり、乳牛なら脂肪分の高い乳がたくさん出ます。こうすると、天然でも悪影響のあるトランス脂肪酸ができてしまうようです。

 

 トランス脂肪酸が問題だと思って、「草で育てた牛」「放牧」を推奨してきたわけでは有りませんが、やっぱり無理な育て方はしない方がいいと思います。

 

外山

パーム油にも含まれる発がん性物質「3-MCPD」の許容量

トランス脂肪酸の問題から、以前のマーガリン、ショートニングなどの固まる油の代替品として

よく使われるようになったパーム油(表示は植物油脂、ショートニングなど)について、

毒性は以前書きました。

植物油脂及び食品中の加工汚染物質 −パーム油には発がん性物質が多く含まれている−

実際どの程度含まれるものなのか、名古屋生活クラブの生産者のパーム油使用時の

食パンレシピを参考に計算しました。

 

食パン以外にもパン・菓子、乾麺など、他からもパーム油の摂取があることを考えると

世界保健機関(WHO)が設定する1日あたりの摂取許容量を簡単に越えてしまいます

 

 

乳ガンの放射線治療によりガンになる人は、たばこ、日光、アリストロチック酸でガンになる人に比べ全然少ない

Mutational signatures of ionizing radiation in second malignancy

2次発ガン(放射線治療後の発ガン)の放射線による突然変異の形

Sam Behjati サンガー研究所 

ケンブリッジ大学 イギリス Nature communications 12 Sep 2016

 

要旨

生体の放射線被曝後に生じる突然変異の形(様式)は、今まで、よくわかっていなかった。

いろいろな種類の異なる2次発ガン12種類の突然変異の形を調査した。

ガンの種類に関わらず2種類の体細胞突然変異の形が見つかった。

放射線を受けていないガン319種と比べて放射線によるガンは、

遺伝子全体で201個余分な(中央値で)欠失(サイズは1〜100塩基)があった。

放射線を受けていない欠失とちがって、放射線による欠失は、

ゲノム全体に均一で配列や複製のタイミング、クロマチン構造とも関係がなかった。

更に逆位(balanced)も増加していた。

これら欠失と逆位の両方ともがドライバー変異(ガン化につながる変異)を作り出している。

この様に放射線は発ガンにつながる特徴的な変異を作り出している。

 

欠失・・・遺伝子が失われること

逆位・・・遺伝子が逆の向きでつながってしまうこと

 

解説

放射線の影響に関して、広島、長崎の被曝の研究が大きな役割をしめていますが、

いろいろ不確定の部分もあり、いろいろな異論のでる余地があります。

今回の研究は、遺伝子配列をほぼ全部にわたって解析したもので

放射線がどういう変異をもらたしたか、

遺伝子配列で明らかにした画期的な論文です。

要旨の中にも書かれていますが、放射線による欠失は「ゲノム全体に均一で」という部分は、

タバコや紫外線などの放射線以外の変異原の場合、

変異は、特定の部分に集中している特徴があることと対になっています。

放射線は人体組織の中に透過する過程で、

偶然に遺伝子DNAと相互作用(放射線による活性酸素で)するので、

タバコや紫外線といった他の変異原が

遺伝子の高次構造の特定の部位に変異を集中させているのに対して、

遺伝子全体に均一に変異をもたらしています。

 

また、本文の中で著者らは、

 

「放射線は、よく知られた発ガン物質であるのに、

突然変異の数が比較的少ないのは驚くべきかもしれない。

タバコ、日光、アリストロチック酸(ハーブ)によるガンで見られるより、

かなり(放射線)は変異が少ない。

それは、ガンに対する寄与リスクは高いのだけど、

絶対リスクそのものが低い事をおそらく反映している。

たとえば、乳ガンの放射線治療後に起きる

血管肉腫の90%以上は放射線によるものだけれど、

放射線照射を受けた1000人中の1人しか血管肉腫になりません。

放射線は照射された組織のバイスタンダー細胞を明らかに発ガンさせるが、

細胞1つずつの絶対リスクは高くなく、

その後のドライバー変異(ガンを起こす変異)が必要だろう。」

 

バイスタンダー効果 ・・・

放射線照射されていない細胞が近くの照射された細胞からシグナルを受けとり、変異したり、ガン化したりする。

ドライバー変異 ・・・

ガン化につながっていく変異。そうでない変異はパッセンジャー変異。

                                 伊澤



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